(技術動向編) 第4号 ティッシュエンジニアリン …‚°(Tissue Engineering)...

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1 (技術動向編) 第4号 ティッシュエンジニアリング(再生医療)に関する技術 の現状と課題 経済産業省産業技術環境局技術調査室 発行 平成15年 9月 4日 電話 03-3501-1366 はじめに 技術調査室では、技術調査レポート(統計・研究システム編、海外編)とともに、個別技術の 動向について「技術調査レポート(技術動向編)」として省内外に情報提供することとしており ます。今回は技術動向編の第4号として、生物化学産業課と協力してティッシュエンジニアリン (Tissue Engineering) 技術を取り上げました。 今回のレポート内容 ① ティッシュエンジニアリングは、皮膚の再生、関節の軟骨の再生が実用化され、将来的に は肝臓などの臓器の再生をも視野に入れており、ライフサイエンスの主要な分野として米 国などで急速に発達してきている。 ② これは、医療と産業の境界的な分野であり、その実用化のタイムスケジュールを整理する とともに、産業としての様々な形態があることを示した。 ③ 残された技術的な課題も多く、バイオ技術のみならず、培養プロセスの信頼性の向上や生 体適合性の評価基準の標準化も重要な課題であり、我が国の積極的な取り組みが期待され る。 ④ なお、技術面以外にも、本技術の産業化やその発展のためには、健康保険制度や各種の規 制などの面での環境整備、細胞バンクの整備などが必要となる。 なお、本レポートのとりまとめでは「技術動向調査委員会」(委員長:大石道夫・(財) かずさDNA研究所 所長)における検討結果を参考にした。

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              (技術動向編)  第4号

  ティッシュエンジニアリング(再生医療)に関する技術の現状と課題

               経済産業省産業技術環境局技術調査室 発行平成15年 9月 4日      電話 03-3501-1366

はじめに 技術調査室では、技術調査レポート(統計・研究システム編、海外編)とともに、個別技術の

動向について「技術調査レポート(技術動向編)」として省内外に情報提供することとしており

ます。今回は技術動向編の第4号として、生物化学産業課と協力してティッシュエンジニアリン

グ(Tissue Engineering)技術を取り上げました。

今回のレポート内容

 ① ティッシュエンジニアリングは、皮膚の再生、関節の軟骨の再生が実用化され、将来的に

   は肝臓などの臓器の再生をも視野に入れており、ライフサイエンスの主要な分野として米

国などで急速に発達してきている。

 ② これは、医療と産業の境界的な分野であり、その実用化のタイムスケジュールを整理する

とともに、産業としての様々な形態があることを示した。

 ③ 残された技術的な課題も多く、バイオ技術のみならず、培養プロセスの信頼性の向上や生

体適合性の評価基準の標準化も重要な課題であり、我が国の積極的な取り組みが期待され

る。

 ④ なお、技術面以外にも、本技術の産業化やその発展のためには、健康保険制度や各種の規

制などの面での環境整備、細胞バンクの整備などが必要となる。

 なお、本レポートのとりまとめでは「技術動向調査委員会」(委員長:大石道夫・(財)

かずさDNA研究所 所長)における検討結果を参考にした。

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1.ティッシュエンジニアリングの事例

• ティッシュエンジニアリングとは日本語では「組織工学」と訳され、「人間の組織、器官の機能回復を目的として、その生物的代替を作成するためにライフサイエンスとエンジニアリングの原理を応用すること」と定義されている。大きくは「再生医療」と捉えることもできる。

• 現在、皮膚や軟骨の細胞を培養して医療に用いることが可能になっており、心筋の再生の実用化も近い。また、将来的には、幹細胞から臓器を再生して、ドナーからの臓器移植に代替することも期待されている。以下にそれらの例を示す。

1.1 ティッシュエンジニアリングとは

1.2 皮膚の再生

(挿絵出典:再生医学 再生医療、室田誠逸編、東京化学同人)

• 熱傷(火傷)や床ずれの患者に対して、皮膚の再生が有効である。

• 患者本人の皮膚細胞(自家細胞)を用いる方法については、米国で培養サービスが開始されている。

• 一方、熱傷などで緊急を要する患者には、第三者の細胞(他家細胞)を事前に培養して製品化しておくことが必要で、米国では表皮について実用化しているが、真皮層が無いので生着しにくい。真皮の他家細胞の培養についても、欧米では実用化しており、我が国では治験中である。

自家培養表皮(J-TEC:HP)

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1.3 軟骨の再生

(挿絵出典:再生医学 再生医療、室田誠逸編、東京化学同人)

自家培養軟骨(J-TEC:HP)

• 関節軟骨は自己修復機能に乏しく、いったん損傷されると修復されない。外傷による関節軟骨損傷などに軟骨の再生技術が用いられる。

• 患者本人の軟骨細胞(自家細胞)を用いる方法について、米国では培養サービスを開始しており、軟骨から軟骨細胞を単離・培養して欠損部への移植が行われている。

軟骨採取

3~4週間の培養

移植

軟骨細胞の単離

軟骨採取と軟骨組織の作成 移植術

軟骨欠損部

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1.4 骨の再生

・骨は自己修復する能力を備えているが、限度を超えると修復できなくなる。この ため、生体適合材料を用いることにより、そのような損傷を回復する方法が研究 されており、欧州では実用化されている。

①人工骨(埋め込み後、自己組織と置換されるタイプ)・生体骨と同じ成分と構造を持つ人工骨を骨欠損部に移植する 。

・生体骨は破骨細胞が古い骨を破壊し、骨芽細胞が新しく骨を形成するという  新陳代謝を行っているので、生体適合材料(アパタイト/コラーゲン複合体) を徐々に破骨細胞が破壊し、そこに骨芽細胞が新生骨を作ることにより、欠損 が回復する。 (注)アパタイト:骨の主成分である燐酸カルシウム焼結材、コラーゲン:骨 などに存在する脂質(ゼラチン)

②骨再生誘導・軟組織が入り込まないように、膜で骨の欠損部をおおい、内部に骨組織を誘 導して再生する方法(膜は治療後溶けてなくなる)。・膜材料として、内部に骨芽細胞などを誘導・活性化して骨組織を再建する生 体活性な性質が求められる 。

(挿絵出典:http://www.nims.go.jp/cob/newsj.html)

(挿絵出典:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/10/01/980111.htm)

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1.5 心筋の再生

・心筋梗塞は冠胴動脈・冠静脈が詰まることにより、心臓の筋肉(心筋)の一部が 壊死し、ペースメーカーを利用している人も多い。このような患者に対し、本人 の骨髄の間葉系幹細胞から心筋細胞を分化誘導して、増殖・移植する研究が進ん でいる。現在は動物実験段階。

骨髄間質細胞の培養 分化誘導

顕微鏡下でのスクリーニング

心筋細胞

1.6 角膜の再生

・緑内障などの患者は現在アイバンクによる角膜移植を受けているが、角膜不足の 問題から、角膜中の上皮細胞を培養・移植する方法が研究されている。現在は動 物実験段階から一部臨床への応用がなされている。

(挿絵出典:再生医工学、筏義人編、化学同人)

(挿絵出典:再生医学 再生医療、室田誠逸編、東京化学同人)

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1.7 血管の再生

1.8 神経の再生

・末梢神経の欠損は外傷や手術時の合併切除などで起こり、臨床の現状では有効な 手段はなく、神経再生への期待は大きい。

・欠損した末梢神経も欠損部分がさほど長くなければ、チューブで架橋することで チューブ内で中枢側から末梢側に伸長し、再生する。チューブの材料は当初、シ リコンなどが用いられていたが、近年では、生体親和性の高い生体適合材料が研 究されている。

・心筋梗塞など動脈硬化に基づく動脈閉塞疾患には、現在、薬物などによる内科的 治療、バイパス手術などによる外科的治療が行われているが、限界があり、血管 の再生への期待は大きい。

・末梢の血管から細胞を採取し、単離培養して、生体適合材料で作成したチューブ に播種し、移植することにより、生体適合材料は吸収され、その部分に血管組織 に類似した組織が再生される。2000年には、この方法が臨床応用されている。

1.9 歯の再生

・歯の再生のニーズは大きい。しかし、歯は単一の組織ではなく、歯髄、象牙質、 エナメル質・セメント質などが複合した器官であるので、再生は難しいが、将来 、幹細胞の分化を制御出来るようになれば、顎骨に移植することにより歯胚の再 生も可能である。現在は基礎研究段階。

生体適合材料チューブに培養した血管細胞を播種。

移植

生体適合材料チューブは吸収され、血管組織が再生される。

閉塞部

欠損部

生体適合材料などのチューブ

架橋 チューブ内で神経が再生される。

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1.10 細胞による臓器再生

1.11 ハイブリッド人工臓器

・疾病や傷害のために機能が十分に発揮しなくなった器官や組織を治療するには、 現状では臓器移植に依存しているが、ドナーの不足により十分な解決には至って いない。そのため、細胞培養によって、臓器の機能を再生する研究が行われてい る。

・臓器の完全再生は遠い将来の課題であるが、膵臓や肝臓は主たる機能は細胞レベ ルでの代謝機能であるために、細胞の培養・移植を用いることにより、欠損機能 の補助が可能と考えられている。

・膵臓の主要な機能を担う細胞(ランゲルハンス島β細胞)の移植は進んでいるが 、移植に用いる細胞の不足などを解決するために、この細胞を培養してから移植 する研究が進められている。現在は基礎研究段階。

・肝臓の移植が進んでいるが、ドナーが不足しているため、幹細胞を培養・移植す る研究が進められ、現在、培養することまでは可能になった。基礎研究段階。

・生体適合素材と細胞を組み合わせたバイオ(ハイブリッド)人工臓器の研究が進 められている。バイオ人工腎臓、バイオ人工膵臓については臨床段階まできてい る。

・通常、その大きさや動力源などの問題から生体外におかれているが、携帯型もし くは埋め込み型のハイブリッド人工臓器の研究も進められている。しかし、細胞 の機能維持など問題も多い。

(挿絵出典:http://kodansha.cplaza.ne.jp/hot/genome/cap2_2/2_2c.html)

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2.ティッシュエンジニアリングの産業化の動向

2.1 産業化のタイムスケジュール

・ティッシュエンジニアリング技術は実用化に先だって治験が必要であるため、治 験の実施状況から産業化の時期を予想することが出来る(下表参照)。

・皮膚については既に1987年にジェンザイム社(米国)が自家皮膚細胞培養移植サ ービスを実用化している。日本でもJ-TEC社などが実用化の直前の段階まで進ん

 でいる。他家の皮膚細胞を培養した製品についてはアドバンテスト・ティッシュ ・サイエンシイズ(米国)、Smith&Nephew(英国)、ジェンザイム(米国)が 実用化しており、わが国ではJ-TECなどが近く実用化する予定である。

・軟骨や骨についても、ジェンザイム(米国)が軟骨を、コドン社(独)は骨を実 用化しているが、日本ではまだその段階には至っていない。

・それ以外に関しても、実用化の段階で日本は海外に比べて遅れているものの、日 本も基礎研究や技術の面で大きく遅れている訳ではない。

分類

部位 企業

J-TEC(日)

ジェンザイム(米)

バイオ・ティッシュ・テクノロジー(独)

モデックス・セラピューティクス(スイス)

J-TEC(日)

アドバンスト・ティッシュ・サイエンシズ(米)、Smith&Nephew(英)

コドン(独)

国立シンガポール大学(NUS)

ジェンザイム(米)

バイオ・ティッシュ・テクノロジー(独)

骨 コドン(独)

オシリス・セラピューティクス(米)

ジェンザイム(米)

毛髪 インターサイテックス(英)

J-TEC(日)

アドバンスト・ティッシュ・サイエンシズ(米)、Smith&Nephew(英)

J-TEC(日)

ジェンザイム(米)

ニプロ(日)

オルガノ・ジェネシス(米)

インターサイテックス(英)

角膜 アムニオテック(日)

神経 リ・ニューロン(英)

凡例研究治験実用化

真皮

皮膚

他家

皮膚

自家

表皮

軟骨

心筋

80 85 90 95 00 02 05 10

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④生体適合素材の利用・生体によくなじむ素材(アパタイト、コラーゲンなど)を用い、時間と共に患 者の細胞に置き換わっていくことにより再生を行う方法。・単独で用いられる場合(事例 1.4, 1.8節参照)と、再生組織の足場などとして細 胞培養と共に用いられる場合(事例 1.7節参照)がある。

①組織細胞の培養(事例 1.2,1.3,1.6,1.10節参照)・再生する組織の細胞源として、その組織の細胞を用いる方法。・細胞源には、患者本人の細胞(自家細胞)、他人の細胞(他家細胞)、豚な どの細胞(異種細胞)を利用する方法がある。

2.2 ティッシュエンジニアリングの主な手法

②体性幹細胞の培養(事例 1.5,1.9節参照)・幹細胞とは分化してそれぞれの組織や臓器のもととなる細胞を生み出すこと ができる細胞のことであり、胚性幹細胞(ES細胞)、体性幹細胞がある。・このうち体性幹細胞の代表的な物は、骨髄中の間葉系幹細胞であり、筋細胞 や骨細胞などの細胞に分化することが可能である。

 これらの手法は、用いる細胞により自家細胞(患者本人の細胞)、他家細胞(第三者の細胞)、異種細胞(動物の細胞)に分けられ、それらは次の表のような特徴があり、産業の形態にも差違が生じる。

③胚性幹細胞(ES細胞)の培養・胚性幹細胞(ES細胞)とは胚(受精卵)の初期段階から採取した細胞で、あ

 らゆる細胞に分化することが可能であるが、生命倫理など様々な問題がある。・生体外で安定的に増殖することができるが、分化の制御は容易ではない。

  細胞を培養するに当たっての特徴

⑤ハイブリッド人工臓器の利用(事例 1.11節参照)・必要な機能を持った同種・異種の細胞を培養してモジュール化し、複雑な組織か らなる臓器を作る方法で、体外に置く場合と体内に入れる場合とがある。

細胞種類 長所 短所

自家細胞・免疫上の拒絶反応がない・感染の危険性が少ない

・緊急の場合に細胞の培養・増殖に間に合わない・先天的な(遺伝的な)欠陥については治療できない

他家細胞・あらかじめ再生組織を作っておくことも可能

・免疫上の拒絶反応を押さえる処置を行わなければならない・細胞の供給源を確保する方法に課題

異種細胞・あらかじめ再生組織を作っておくことも可能・細胞源を考えなくてよい

・免疫上の拒絶反応を押さえる処置を行わなければならない・レトロウィルスなどの感染の危険性がある

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2.3 細胞培養に関わる産業形態

(1)自家細胞培養サービス

細胞培養

患者

関連機器メーカー

増殖因子メーカー

材料メーカー

医者(病院)

③移植

①細胞の採取

②培養

医療産業

(注) ティッシュエンジニアリングは医療法上の規制の他に生命倫理に深く関わる問題が多いので、現在でも以下のような様々な法制や指針などにより管理されている。・「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」・厚生労働省、「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関す る指針」・科学技術会議生命倫理委員会、「ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関す る基本的な考え方」・文部科学省、「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」

・文部科学省、「特定胚の取り扱いに関する指針」

・自家細胞(患者本人の細胞)を用いたティッシュエンジニアリングにおいては、 患者からの細胞の採取(医療行為)、細胞の培養、細胞の患者への移植(医療行 為)のプロセスがあるが、このうち細胞培養については医師による医療行為とし て行う場合と、企業が培養サービスを請け負う場合とが考えられる。

・細胞培養は現在医療法上の各種規制(薬事法など)があり、医師以外には困難が 多いが、将来的には品質確保のために培養サービスを専門に行う事業が成立する ものと思われる。

・また、この他に細胞を培養するための足場材料、増殖因子(酵素など)、培養装 置を製造する産業が必要になる。

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(2)他家・異種細胞由来品の生産

細胞培養

患者

関連機器メーカー

増殖因子メーカー

細胞バンク材料メーカー

医者(病院)

細胞源(ドナー、動物など)

①細胞の提供

③移植

②細胞培養、製品化

医療産業

・第三者や動物の体細胞・幹細胞を用いたティッシュエンジニアリングについては 事前に細胞の提供を受けた細胞バンクと、その後、細胞培養が必要となる。

・細胞培養は事前に培養し、製品化するケースも考えられる。この細胞培養を医療 行為として行うケースと、産業として行うケース(薬事法の規制がある)が考え られる。

・足場材料・増殖因子・培養装置などについては、自家細胞の場合と同じである。

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(3)創薬への利用

・ティッシュエンジニアリング技術により培養した細胞や組織については薬品の効 能試験などへの利用も検討されており、実現すれば薬品の開発プロセスを改善で きると期待されている。

細胞培養

研究・臨床

関連機器メーカー

増殖因子メーカー

材料メーカー

製薬メーカー

③創薬への利用

細胞バンク

細胞源(ドナー、動物など)

①細胞の提供

②細胞培養、製品化

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2.4 市場予測

虚血性心疾患および脳血管疾患の医療費(1998年、単位:兆円)

(出典:日本心臓財団ホームページより日本総研作成)

一般診療医療費

循環器系疾患 5.5

高血圧性疾患 1.7

虚血性心疾患 0.7

脳血管疾患 2.0

新生物 2.5

悪性新生物 2.0

内分泌・栄養及び代謝疾患 1.5

糖尿病 1.0

その他 6.4

(合計) 23.5

・米国のティッシュエンジニアリング研究の中核であるPittsburgh Tissue Engineering  Initiative が2000年に実施した調査によれば、米国のティッシュエンジニアリング関 連企業の年間売り上げは約780億円であった。市場は今後10年間は年率50%以上で成 長すると予測しており、2010年には、全米で4.5兆円程度に成長すると期待される。世 界における日米医療市場のバランスを考慮すると、概ね全世界で10兆円程度、日本で 1兆円程度と推定される。

・循環器用装置市場に特化したニュースレター“Cardiovascular Device Update”(米 国・Biomedical Business International社)によれば、2001年時点における予測とし て、循環器領域におけるティッシュエンジニアリングの市場可能性を約8,800億円(世

 界)と推定している。循環器領域に適用されるティッシュエンジニアリング技術の内 容としては、心筋再生、バイパス形成、人工弁、先天性心疾患対策等が挙げられる。

・日本におけるティッシュエンジニアリングの市場に関しては、当面は「皮膚の再生」 および「骨の再生」が中心となる。その規模は数十億円程度であるが、さらに「神経 の再生」が産業化されれば100億円程度の規模に拡大すると考えられる。

・現在の我が国の医療費は年間約30兆円であり、一般診療医療費は総額で約24兆円であ

 る。日本心臓財団のデータによれば、そのうち循環器系の虚血性心疾患の治療費は約 7,500億円、脳血管疾患が約2兆円と大きな割合を占めている。これらの疾患は「血管

 の再生」が有効な治療法であるため、ティッシュエンジニアリング関連産業の成長が 期待されている。

・歯科疾患実態調査報告(厚生労働省医政局歯科保健課編)によれば、日本人の35~64 歳の80%前後(約3,700万人)に歯周疾患の疑いがあるとされている。さらに日本人の 場合、55歳を過ぎる頃から失う歯の本数が急増し、喪失する歯の60%以上は歯周疾患 が原因である。歯科診療医療費は現在、約2兆5,000億円に上るが、歯周疾患治療費の

 占める割合も今後ますます増大すると予想される。ティッシュエンジニアリングによ り「歯の再生」が可能となれば有効な治療法となり、関連する産業の成長が期待でき る。

・ティッシュエンジニアリングは細胞培養サービス、細胞培養製品、ハイブリッド製品 の他、足場などの材料、増殖因子、培養関連機器などの産業が関連しており、制度的 な課題および技術的な課題が克服されれば、将来大きな産業になると考えられる。一 方、健康保険の医療費抑制は大きな政治課題となっているが、その場合でも健康保険 外の自由診療として認められることが、ティッシュエンジニアリングの普及の鍵とな っている。

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3.ティッシュエンジニアリングにおける国際競争

3.1 論文動向

日米欧地域別の論文件数推移

日米欧地域別の論文件数割合

(1990~2001年累積件数)

出典 : ISI Web of Scienceを用いて産業技術総合研究所 技術情報部門 作成検索式: tissue engineer*

 「ティッシュエンジニアリング」は近年では、非常に幅広い要素技術・応用分野を含むが、ここでは便宜的に「tissue engineer*」の語( tissue engineeringなど )を含む論文を抽出した。

0

50

100

150

200

250

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001

論文件

日本

米国

欧州

欧州 22%

米国 68%

日本 10%

論文件数1,454

・ティッシュエンジニアリングに関する論文数は、1994年以降日米欧いずれの地域

 においても増加しており、特に最近の伸びが著しい。

・地域別割合でみると米国が約7割を占め、欧州が約2割、日本は1割弱に留まってい

 る。

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3.2 特許動向

・特許庁による米国特許の分析によれば、米国の特許が約8割と大半を占め、欧州 と日本がそれぞれ1割弱に留まっている。我が国の特許戦略の展開はまだまだ発 展途上といえる。 

【培養・細胞】に関する米国特許件数 【再生医療】に関する米国特許件数

出典:特許庁特許マップ「細胞利用技術」より抜粋  出典:特許庁「バイオテクノロジーの医療分野へ 

 (データベース:WPI * ・ 1977-99.10)       の応用に関する技術動向調査」より抜粋

  (欧州は英・独・仏3ヶ国のデータの合計)      (データベース:WPI * ・1990-2000年)                         (欧州はEPC加盟国データの合計)

(注)

* WPI は米国のDerwent社が提供しているWorld Patent Index(WPI) 。米国特許に関する代表的なデータベースであり、主として特許の検索を目的として作成されている。

**出願件数上位の日本企業の特許は、中空糸型人工腎臓やセラミックス人工関節等のやや古い技術に属するものが多い。今後注目される培養皮膚、人工肝臓等の組織工学関連分野では、メニコン、J-TEC、グンゼ、名大等からの出願があるが、圧倒的に米国出願人の特許が多い。

欧州11%

米国 80%

日本 9%

米国特許件数8,032

日本 13%

米国 77%

欧州10%

米国特許件数809

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国及び機関 実施時期 プロジェクト名 主な内容

アメリカ・NIH 1998 年~ Research onTissueEngineering

マトリクス/足場と細胞・組織との相互

作用の解明、生体適合性や生分解性など

を含む最適材料・設計の検討などの研究

開発を推進する。

ヨーロッパ・

EU project2000 ~

2002 年

Biomechanicalinteractions intissueengineering andsurgical repair

人工臓器の創出へ向け、境界領域にある

広範な研究開発を推進する。動物実験や

臨床試験を通した新組織の生体的・機械

的性能の検討、組織間/組織-骨間の界

面のモデル化などの研究を行う。

3.3 欧米の研究開発プロジェクト

*:産業技術総合研究所 技術情報部門 とりまとめ

欧米の研究開発プロジェクト

・米国でNIHが下表の国家プロジェクトによって、ティッシュエンジニアリングの研 究開発を推進している。これによって、大学発ベンチャーにNIHの研究資金が配分

 される中で有望な研究テーマの評価と絞り込みが行われるとともに、それらに大手 の医薬品メーカなどからの出資がなされている。これらベンチャーのうち、アドバ ンスド・ティッシュ・サイエンス社とオルガノジェネシス社が倒産したが、これら は、事業を整理し、体制を立て直すための計画的なものとの話もある。

・欧州においても、EUがティッシュエンジニアリングの研究開発プロジェクトを進め

 ている。

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4.今後の技術的課題

課題 内容

細胞の大量分離と

迅速増殖

組織形成においては、細胞同士の情報交換が必要。細胞同士が離れす

ぎていると交信が困難となるため細胞増殖(細胞数の増幅)によって

細胞密度を高める必要有り。

材料への細胞の均

一分布

再生組織のサイズが大きくなると材料全体に細胞を均一に分布する

のも困難。細胞分散液への材料の濡れが低ければ、分散液を材料内部

まで浸透させる手段が必要。

細胞への酸素、栄養

分の高効率補給

皮膚や関節軟骨など組織が薄く 2 次元では容易であるが、多くの組織

が 3 次元で厚みもあり、工夫を要する。

生体吸収速度、力学

特性、多孔性など高

特性の材料の作製

材料に細胞が接着し、多くの細胞が入り込めることも必要。多くの穴

を開けて表面積を増やす、多くの溝を作って毛細血管の導入を容易に

するなどの工夫が必要。また、再生または再構築した組織の機能や力

学強度が不十分であり、原因として、操作中に細胞が受ける損傷、細

胞群の自己組織化の阻害、内部細胞の壊死、などが考えられる。

細胞成長因子の入

手の困難さの解消

細胞密度を高めると共に、細胞の再生速度を高めることも大きな課

題。そのために、再生場所に大量の細胞を供給するだけではなく、細

胞成長因子を与えることも試みられている。

細胞成長因子の徐

放化

単に細胞成長因子を注入するだけでは、その周囲に拡散してしまうた

め、徐放化手段を講じる必要がある。方法としてキャリアーを用いる

ドラッグデリバリーシステム(DDS)法や細胞から細胞成長因子を分

泌させる遺伝子導入法が行われている。

機能する免疫隔離

膜の開発

ハイブリッド型のバイオ人工臓器の開発などで重要。

分化誘導条件の確

通常の培養条件では細胞の培養と分化とは一般に逆比例し、細胞を増

やそうとするとその細胞の機能が失われていく。そこで、培養基質と

細胞成長因子との巧妙な組み合わせによりこれらの傾向を解決する

必要がある。

同種および異種細

胞の脱抗原化

免疫拒絶反応の防止。

・ティッシュエンジニアリングは、論文・特許や産業化の面で米国が先行しているが、 対象とする器官や作成手法などは多様で、基礎研究段階のテーマも多く、下表に示す ように、多くの技術的な課題が残されており、我が国としても研究開発を強化するこ とが必要である。

・また、実用化のためには信頼性の確保が不可欠なため、細胞・組織・生体適合性材料 の処理工程での品質管理手法の研究や、生体適合性等の評価手法の研究とその標準化 も併せて推進する必要がある。

・ティッシュエンジニアリングは、医学と工学の融合的な領域であり、遺伝子工学、生 化学、材料工学、プロセス制御技術などにも関連する。また、米国でも我が国でも、 大学の基礎研究をベースにしており、臨床検査も不可欠である。このため、研究開発 体制については、産学の連携と多くの専門領域の研究者の協力が重要である。

・環境整備として、健康保険との関係、安全面・倫理面の規制など法的・社会的な条件 とともに、細胞バンクについても整備していくことが重要である。

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(参考)我が国の国家プロジェクト

*:産業技術総合研究所 技術情報部門 とりまとめ

実施主体 実 施 時

期 プロジェクト名 主な内容

経済産業省 2003 ~

2005 年 微細加工技術利用

細胞組織製造プロ

ジェクト

ナノテクノロジーの基本要素である微細

加工技術をバイオテクノロジーに応用す

る事により、細胞組織等の培養システムや

培養した細胞の分化・誘導を遺伝子レベル

で制御するためのマイクロアレイ技術等

を開発し、患者の幹細胞等を培養・分化さ

せた細胞・組織を体内に導入する事で組織

の再生を促す再生医療において必要とな

る支援技術等を確立する。 経済産業省 2002 ~

2006 年 細胞組織工学利用

医療支援システム 中枢神経系疾患及び循環器系疾患の 2 大

国民病にターゲットを絞り、ヒト細胞組織

培養やヒト細胞の機能診断など再生医療

技術の研究開発を行う。 文部科学省 2003 ~

2018 年 再生医療の実現化

プロジェクト 「幹細胞を用いた再生医療実現」をターゲ

ットとし、具体的な課題としては「ヒト幹

細胞バンクの整備」、「幹細胞を用いた細

胞治療技術の確立」、「ハイブリッド型人

工臓器の開発」を設定している。15 年間

のプロジェクト。 文部科学省 2000 ~

2004 年 発生・分化・再生 発生・分化・再生の仕組みを分子レベルで

解明し、得られた知見に基づく幹細胞の人

為的増幅・操作を通して、細胞移植並びに

臓器移植を基盤とする血液や神経及び各

種組織、更には臓器の再生を目指した新た

な治療法の創出を図る。 文部科学省 2000 ~

2007 年 「発生・分化・再生」 未来開拓学術研究推進事業生命科学領域

文部科学省 1999 ~

2004 年 「血管新生と分化

制御」 未来開拓学術研究推進事業生命科学領域

文部科学省 1996 ~

2002 年 「再生医工学」 未来開拓学術研究推進事業複合領域

文部科学省 2000 ~

2005 年 関口細胞外環境プ

ロジェクト 創造科学技術推進事業

文部科学省 1998 ~

2003 年 近藤分化プロジェ

クト 創造科学技術推進事業

19

参考

資料

 産

業化

の動

(出所:各社ホームページ等

の情

報を

もと

に日

本総

合研

究所

作成

骨毛

髪自

家培

養軟

骨・骨

自家

培養

骨芽

細胞

自家

培養

毛髪

細胞

ジェ

ンザ

イム

(米

)J-

TE

C(日

)バ

イオ

・ティ

ッシ

ュ・テ

クノ

ロジ

ー(独

モデ

ック

ス・セ

ラピ

ュー

ティ

クス

(ス

イス

)J

-T

EC

(日

アド

バン

スト

・テ

ィッ

シュ

・サ

イエ

ンシ

ズ(米

)、

Sm

ith&N

ephew

(英

コド

ン(独

)国

立シ

ンガ

ポー

ル大

学(N

US)

ジェ

ンザ

イム

(米

バイ

オ・

ティ

ッシ

ュ・

テク

ノロ

ジー

(独

コド

ン(独

)オ

シリ

ス・セ

ラピ

ュー

ティ

クス

(米

)ジ

ェン

ザイ

ム(米

)イ

ンタ

ーサ

イテ

ック

ス(英

培養

自家

表皮

細胞

移植

療法

を開

発。

郵便

切手

サイ

ズの

健全

な皮

膚を

、全

身サ

イズ

に培

養す

るの

に16日

間を

要し

、培

養皮

膚の

貯蔵

寿命

は24

時間

2003年

に自

家培

養表

皮、

04

年に

自家

培養

真皮

の供

給予

定。

繊維

素マ

トリ

クス

中の

未分

化な

自己

上皮

細胞

から

なる

各種

皮膚

傷害

用皮

膚治

療薬

、皮

膚が

まだ

らに

なっ

た疾

病に

対す

る移

植用

自己

由来

メラ

ノサ

イト

を商

品化

。自

家培

養口

内粘

膜を

研究

中。

EpiDex(

成体

幹細

胞由来

の培養

自己細

胞皮膚

)を

製品

化。

AcuDress

(繊

維素

ベー

スで

培養

した

自己

生体皮

膚から

培養

した

ケラ

チノサ

イトの

薄膜

)を

開発

。現

在J&Jの

Integra

と組

み合

わせ

たAcuDress-

Integra皮膚

再生

テンプ

レー

トの

臨床

実験

中。

2005年

に自

家培

養軟

骨の

供給

予定

関節

面と

膝関

節間

軟骨

の修

復の

ため

の培

養軟

骨細

胞を

開発

。現

在臨

床前

実験

中。

関節

軟骨

再生

のた

めの

自家

血清

を含

む自

家細

胞か

ら作

られ

る自

家軟

骨細

胞と

その

移植 (chondro

transpla

ntョ

)を

開発

。ま

た、

椎間

板の

ずれ

、椎

間板

ヘル

ニア

の治

療用

に、

これ

をデ

ィス

ク状

にし

た自

家培

養椎

間板

細胞

(chondro

transpla

ntョ

 D

ISK)も

開発

自家

軟骨

細胞

、自

家間

葉幹

細胞

によ

る軟

骨欠

損(プ

ュシ

ス、

間接

軟骨

)の

修復

・再

生の

研究

を行

って

いる

関節

軟骨

欠損

に対

する

培養

自己

軟骨

細胞

移植

治療

を商

品化

。2001

年3月

の米

国整

形外

科学

会年

次総

会に

おい

て5年

間の

フォ

ロー

アッ

プ試

験で

長期

の有

効性

と安

全性

が確

認さ

れた

。更

なる

低侵

襲化

に向

けた

次世

代療

法を

臨床

前試

験中

自己

由来

培養

軟骨

細胞

・骨細

胞、

血管

再生

の研

究中

重症

の骨

折・

骨疾

病患

者の

ため

の、

自家

血清

を含

む自

家細

胞か

ら作

られ

る自

家骨

細胞

とそ

の移

植 (oste

otr

anspla

ntョ

)を

開発

成人

の骨

髄の

中に

ある

自家

間葉

系幹

細胞

を培

養し

て、

血球

や骨

、腱

・筋

肉な

どの

細胞

・組

織を

作る

こと

に成

功。

心筋

梗塞

患者

のた

めの

hM

SC

(ヒ

ト間

葉系

幹細

胞)

を用

いた

心筋

組織

の再

生を

臨床

前実

験中

GTR社

の技術

をベー

スに、

心筋梗

塞など

の治療

のため

に破損

した心

筋細胞

を修復

する培

養自己

心筋細

胞療法

を臨床

試験

中。

皮膚

の濾

胞上

皮細

胞移

植技

術を

応用

した

、自

己由

来毛

髪細

胞か

らの

毛髪

再生

の開

発中

1987年

、自

家皮

膚細

胞培

養移

植を

世界

で初

めて

実用

化。

自発

的な

臨床

試験

中。

2002

年中

には

終了

予定

2002年

度中

に臨

床試

験開

始予

定。

1995年

、培

養し

た軟

骨細

胞の

注入

を商

用化

、米

国・

欧州

で販

売。

1997

年、

米国

でB

LA

取得

。実

績5000例

。2001年

3月

の米

国整

形外

科学

会年

次総

会に

おい

て5

年間

のフ

ォロ

ーア

ップ

試験

で長

期の

有効

性と

安全

性が

確認

され

た。

1997年

より

ドイ

ツの

薬事

法に

従い

製造

して

いる

2002年

第3

四半

期に

米国

にて

臨床

フェ

ーズ

1開

始予

定。

2年

以内

に臨

床評

価予

定。

細胞

の精

製と

増殖

に時

間が

かか

り緊

急を

要す

る場

合に

は使

えな

いこ

と、

患者

が老

齢で

ある

場合

や骨

髄に

癌が

ある

場合

は使

えな

いこ

と、

使用

が患

者個

人に

限ら

れる

こと

自家

細胞

培養

移植

療法

は従

来の

医薬

品と

異な

るま

った

く新

しい

治療

法と

考え

られ

るた

め、

長期

の有

効性

と安

全性

の実

証が

不可

欠。

自家

細胞

培養

サー

ビス

培養

サー

ビス

自家

培養

心筋

細胞

治療

心筋

自家

培養

の表

皮、

真皮

表皮

は生

着し

にくく、

培養

に3~

5週

間程

度か

かり

重傷

広範

囲熱

傷の

救命

には

間に

合わ

ない

。永

久生

着し

ない

が作

り置

きの

同種

培養

表皮

とし

ての

応用

が広

がっ

てい

る。

軟骨

皮膚

自家

培養

軟骨

製品

、サ

ービ

ス分

類再

生部

商品

(名

産業

分野

技術

概要

企業

研究

状況

実用

化フ

ェー

課題

商品

20

(出所:各社ホームページ等

の情

報を

もと

に日

本総

合研

究所

作成

製品

、サ

ービ

ス同

種細

胞由

来品

再生

部位

神経

(脳

商品

(名

)A

llox

角膜

上皮

細胞

シー

トC

INES

コラ

ーゲ

ンス

ポン

ジを

生体

に移

植し

疑似

真皮

組織

を再

生。

表皮

細胞

のみ

を培

養し

て移

植し

再生

繊維

芽細

胞と

表皮

細胞

を加

えて

、サ

イト

カイ

ンに

より

表皮

と真

皮を

同時

再生

角膜

上皮

細胞

シー

トの

開発

ジェ

ンザ

イム

(米

)J-TEC

(日

)ア

ドバ

ンス

ト・

ティ

ッシ

ュ・サ

イエ

ンシ

ズ(米

)、

Sm

ith&N

ephew

(英

ジェ

ンザ

イム

(米

)J-TEC

(日

)オ

ルガ

ノ・ジ

ェネ

シス

(米

)イ

ンタ

ーサ

イテ

ック

ス(英

)ニ

プロ

(日

)モ

デッ

クス

・セ

ラピ

ュー

ティ

クス

(ス

イス

アム

ニオ

テッ

ク(日

)リ

・ニ

ュー

ロン

(英

2007年

に同

種培

養真

皮の

供給

予定

合成

表皮

と自

家真

皮か

らな

る第

二度

、第

三度

熱傷

患者

治療

用一

時的

代替

皮膚

Tra

ns

Cyte

、マ

トリ

ック

ス蛋

白質

、ヒ

ト繊

維芽

細胞

、生

体吸

収性

の足

場か

らな

る皮

膚腫

瘍な

どの

皮膚

疾患

用の

自家

培養

真皮

Derm

agra

ftを

商品

化。

-75℃

で貯

蔵寿

命は

6ヶ

月。

1975年

、表

皮細

胞を

生体

外で

培養

する

こと

に成

功。

1981年

、初

めて

培養

表皮

が熱

傷患

者に

臨床

的に

応用

。1983年

には

重層

化し

た培

養表

皮の

応用

2004年

に同

種培

養表

皮の

供給

予定

細胞

播種

密度

を減

らし

、生

体内

で短

期間

で表

皮細

胞を

増殖

させ

る方

法を

開発

。こ

れを

用い

て、

糖尿

病で

おき

る足

の潰

瘍治

療用

の、

ヒト

繊維

芽細

胞と

表皮

のケ

ラチ

ン生

成細

胞か

らな

る他

家細

胞由

来培

養皮

膚を

商品

化。

初め

て表

皮と

真皮

とを

備え

た人

工皮

膚。

コラ

ーゲ

ンゲ

ル内

で繊

維芽

細胞

を培

養す

ると

真皮

のよ

うな

構造

にな

り、

培養

皮膚

とし

ての

臨床

応用

例が

報告

され

てい

る。

室温

での

貯蔵

寿命

は5

日。

深刻

な傷

にも

慢性

的な

傷に

も適

用可

能な

第2世

代培

養皮

膚の

開発

予定

培養

基盤

上に

上皮

細胞

と真

皮細

胞を

播種

し2

層培

養皮

膚を

開発

、冷

凍保

存。

2003年

を目

処に

培養

皮膚

の開

発。

内因

性成

長因

子分

泌皮

膚細

胞か

らな

る異

質遺

伝型

のス

プレ

ー型

製品

角膜

上皮

幹細

胞を

生体

外で

培養

、コ

ンタ

クト

レン

ズに

のせ

て移

植(1997

年P

elle

grin

i等)

細胞

培養

温度

(33℃

)の

下で

は永

久に

分裂

をし

続け

、脳

内温

度(37℃

~38℃

)の

下で

はそ

の永

久性

が失

われ

る「条

件付

永久

性」を

持つ

よう

に、

細胞

の遺

伝子

組み

替え

を行

う技

術を

開発

。こ

の技

術を

用い

て、

脳疾

患の

ため

の細

胞移

植技

術と

して

、脳

の損

傷部

分に

注入

する

と神

経細

胞に

分化

する

CIN

ES(条

件付

永久

神経

上皮

幹細

胞)を

開発

ヒト

皮膚

細胞

から

作製

した

培養

皮膚

の臨

床試

験を

開始

。2003年

実用

化予

定。

1997年

、培

養皮

膚の

実用

化。

1997年

、同

種培

養皮

膚の

事業

化。

ヒト

の皮

膚細

胞か

ら作

製し

た培

養皮

膚の

臨床

試験

を開

始。

2003年

実用

化予

1998年

、培

養皮

膚の

商用

化に

成功

、2000年

時点

で、

米国

内で

15000件

以上

の移

植実

績。

臨床

実験

予定

。動

物移

植実

験中

。現

在臨

床実

験フ

ェー

ズ2

。骨

再生

評価

のた

めの

犬を

用い

た動

物実

験中

現在

マウ

スを

用い

た臨

床前

実験

段階

。2年

以内

にフ

ェー

ズⅠ

,Ⅱの

臨床

実験

予定

繊維

芽細

胞や

毛細

血管

の進

入を

促進

させ

るた

めに

、細

胞増

殖因

子の

添加

、培

養繊

維芽

細胞

の組

み込

みも

試み

られ

てい

る。

やけ

どや

潰瘍

、床

擦れ

のほ

か、

美容

分野

への

応用

真皮

成分

を持

たな

いの

で生

着し

にくく、

培養

に3~

5週

間程

度か

かり

重傷

広範

囲熱

傷の

救命

には

間に

合わ

ない

。永

久生

着し

ない

が作

り置

きの

同種

培養

表皮

とし

ての

応用

が広

がっ

てい

る。

迅速

に開

発で

きて

生着

しや

すい

物、

正常

皮膚

に近

いも

の、

遺伝

子導

入し

た細

胞を

組み

込ん

だも

のな

どに

期待

。ま

た、

物理

的強

度の

高い

足場

材料

の開

発や

ES細

胞を

分化

誘導

して

の再

生の

研究

にも

期待

自己

の他

の組

織の

幹細

胞か

ら生

体外

で何

らか

の刺

激を

与え

て培

養し

、角

膜上

皮を

再生

でき

る可

能性

有り

。し

かし

、同

種細

胞を

用い

ると

拒絶

反応

が大

きい

課題

実用

化フ

ェー

培養

皮膚

企業

研究

状況

産業

分野

商品

技術

概要

培養

表皮

他家

細胞

由来

一般

生産

皮膚

培養

真皮

21

(出所:各社ホームページ等

の情

報を

もと

に日

本総

合研

究所

作成

生体

適合

素材

Stim

ula

n、

Fort

oss

Vital等

チロ

シン

・ポ

リ・カ

ーボ

ネー

トB

ioM

end

酵素

可溶

化コ

ラー

ゲン

吸収

性コ

ラー

ゲン

薄膜

酵素

可溶

化コ

ラー

ゲン

の成

形、

修飾

技術

を持

つ。

バイ

オコ

ンポ

サイ

ト(米

)バ

イオ

・シ

ンテ

ック

(加

)イ

ンタ

ーサ

イテ

ック

ス(英

)IM

RE(シ

)国

立シ

ンガ

ポー

ル大

学(シ

アニ

カ・セ

ラピ

ュー

ティ

クス

(米

イン

テグ

ラ・ラ

イフ

サイ

エン

ス(米

イン

テグ

ラ・ラ

イフ

サイ

エン

ス(米

)高

研(日

骨・歯

の再

生を

促進

する

、生

体吸

収性

の合

成カ

ルシ

ウム

によ

る人

工足

場・代

替骨

を商

品化

生体

分解

性の

注射

可能

な軟

骨修

理用

ゲル

を開

発。

皮膚

・血

管・

靭帯

・腱

など

異な

る組

織の

フレ

ーム

ワー

クの

働き

をす

る合

成用

品の

開発

組織

の修

復と

再生

を促

進し

、人

工足

場と

して

も利

用可

能な

注射

可能

な生

体分

解性

の超

分子

ヒド

ロゲ

ルを

開発

。ま

た、

生体

分解

性の

カチ

オン

ポリ

マー

、遺

伝子

組み

替え

キャ

リア

ペプ

チド

を開

発中

。N

US

と共

同開

発を

行っ

てい

る。

培養

軟骨

細胞

・間

葉幹

細胞

の3

次元

足場

、骨

成長

因子

(IG

F1)の

キャ

リア

とし

ての

生体

分解

性ポ

リマ

ー(キ

チン

)の

使用

の研

究を

行っ

てい

る。

膝の

変形

性関

節症

治療

用の

高粘

性ヒ

アル

ロン

酸と

、高

粘性

ヒア

ルロ

ン酸

を用

いた

目の

形状

保持

・組

織保

護剤

を製

品化

。生

体吸

収性

の付

着防

止膜

と、

骨折

治療

用の

ヒア

ルロ

ン酸

と繊

維芽

細胞

増殖

因子

(bFG

F)

の粘

着性

製品

を臨

床前

研究

中。

骨の

破砕

、骨

切り

術の

際に

骨を

定着

・整

列さ

せる

ため

に開

発中

の生

体吸

収性

物質

。B

ionx

社と

の共

同開

発で

、生

体吸

収性

のね

じ、

プレ

ート

、ピ

ン、

くさ

び、

爪製

品が

あり

、現

在動

物実

験中

歯周

の欠

損部

の誘

導組

織再

生過

程で

使用

され

る吸

収性

のコ

ラー

ゲン

薄膜

。歯

茎の

組織

によ

り歯

を固

定し

てい

る歯

周靭

帯の

再生

が阻

害さ

れる

のを

防ぐ

。Sulz

er

Denta

lと

の共

同開

発。

酵素

可溶

化コ

ラー

ゲン

(ア

テロ

コラ

ーゲ

ン)

の各

種形

状に

成形

する

技術

。修

飾に

より

変性

する

技術

を持

つ。

皮膚

、骨

、歯

生体

適合

素材

製品

、サ

ービ

ス分

再生

部位

皮膚

心外

膜、

腹膜

血管

軟骨

(膝

)関

節、

骨、

歯根

歯骨

角膜

神経

、靭

帯、

腱、

血管

商品

(名

)人

工代

替皮

膚(IN

TEG

RA

人工

ショ

ウ膜

人工

血管

再生

軟骨

モジ

ュー

ルセ

ラミ

ック

バイ

オビ

ーズ

注入

型骨

形成

細胞

シー

ト、

コラ

ーゲ

ンシ

ート

皮膚

組織

の再

生を

誘発

する

生物

分解

性テ

ンプ

レー

トの

開発

欠損

部分

をチ

ュー

ブで

つな

ぎ神

経を

再生

する

神経

誘導

管が

開発

され

てい

る。

心臓

など

の開

腹手

術に

おけ

る腹

膜再

生と

内臓

の癒

着防

止の

ため

の生

分解

性膜

血管

内皮

、平

滑筋

、繊

維芽

細胞

の再

生。

拒絶

反応

無し

。血

栓閉

塞が

無く、

再生

後に

分解

吸収

する

生分

解吸

収。

自家

軟骨

細胞

の静

水圧

下培

養に

よる

軟骨

組織

の再

生の

ため

の再

生軟

骨モ

ジュ

ール

高密

度細

胞培

養担

体と

して

の球

状リ

ン酸

カル

シウ

ムセ

ラミ

ック

バイ

オビ

ーズ

可塑

性マ

トリ

ック

スと

骨芽

系細

胞を

組み

合わ

せた

流動

性物

質を

注射

器で

直接

患部

へ注

入す

る治

療法

ヒト

羊膜

の特

殊な

コラ

ーゲ

ン由

来の

コラ

ーゲ

ンシ

ート

を活

用し

た各

種製

品。

PLG

Aを

用い

た生

体分

解性

チュ

ーブ

を用

いた

各種

人工

足場

イン

テグ

ラ・ラ

イフ

サイ

エン

ス(米

)ニ

プロ

(日

)ニ

プロ

(日

)ニ

プロ

(日

)鐘

淵化

学(日

)ア

ドバ

ンス

(日

)オ

ステ

オジ

ェネ

シス

(日

)ア

ムニ

オテ

ック

(日

国立

シン

ガポ

ール

大学

(シ

牛の

腱由

来の

コラ

ーゲ

ンと

コン

ドロ

イチ

ン-

6-硫

酸塩

から

なる

皮膚

置換

層と

、合

成ポ

リシ

ロキ

サン

ポリ

マー

から

なる

表皮

層の

2分

子層

マト

リク

スで

作ら

れた

人工

代替

皮膚

を商

品化

生分

解性

材料

を用

い、

再生

スペ

ース

確保

のた

めの

外筒

保護

部、

生分

解性

ファ

イバ

ー束

とス

ポン

ジ層

を持

つ内

部構

造を

持つ

神経

誘導

管が

開発

され

てい

る。

シリ

コン

チュ

ーブ

が用

いら

れて

いた

が、

再生

神経

の足

場に

なら

ない

、異

物反

応が

出る

など

の欠

点が

あっ

たが

、ポ

リグ

リコ

ール

産な

どの

生体

親和

性の

生体

吸収

材料

のチ

ュー

ブに

よる

実験

が報

告さ

れ、

良好

な結

果。

癒着

防止

と組

織再

生の

誘導

を両

立す

るた

めに

、組

織再

生の

ため

の分

解吸

収性

支持

層と

癒着

防止

のた

めの

生体

内分

解吸

収性

層の

2層

によ

り構

成さ

れて

いる

血管

細胞

の増

殖を

助長

する

生分

解性

材料

の管

状体

に、

内壁

を血

管内

皮細

胞が

被覆

する

まで

の抗

血栓

性を

保持

する

抗凝

固剤

でコ

ート

コラ

ーゲ

ン、

プロ

テオ

グリ

カン

など

軟骨

細胞

外マ

トリ

ック

ス成

分に

富み

、ヒ

ト正

常軟

骨に

近い

。ま

た、

加重

に耐

える

強度

、弾

性を

有す

る足

場を

開発

し、

静水

圧培

養技

術と

支持

体設

計技

術を

用い

た自

家軟

骨細

胞培

養を

研究

ハイ

ドロ

キシ

アパ

タイ

トな

どリ

ン酸

カル

シウ

ムセ

ラミ

ック

スを

球状

に加

工す

るこ

とで

高密

度細

胞培

養担

体と

して

のセ

ラミ

ック

バイ

オビ

ーズ

を開

発。

次世

代骨

充填

材、

人工

関節

、人

工歯

根に

応用

間葉

系幹

細胞

の分

化誘

導と

培養

技術

、流

動性

の保

持を

前提

とし

たマ

トリ

ック

スの

適化

技術

のコ

ア技

術を

保持

。間

葉系

幹細

胞の

大量

培養

と骨

芽細

胞へ

の効

率的

な分

化誘

導法

の開

発と

確立

。培

養骨

実用

化の

ため

の可

塑性

マト

リッ

クス

の開

発に

注力

ヒト

羊膜

由来

のコ

ラー

ゲン

シー

トを

基底

膜と

した

角膜

上皮

細胞

シー

ト、

表層

角膜

移植

用コ

ラー

ゲン

シー

ト、

自家

移植

用角

膜内

皮細

胞移

植シ

ート

、角

膜移

植用

切片

など

を開

発。

PLG

A(ポ

リ乳

酸ポ

リグ

リコ

ール

酸共

重合

体)を

用い

た生

体分

解性

チュ

ーブ

を開

発。

これ

を用

いて

末梢

神経

再生

用キ

トサ

ン製

神経

ガイ

ド管

、靭

帯・腱

再生

用人

工足

場、

代替

血管

組織

用人

工足

場を

開発

神経

再生

評価

のた

め動

物実

験中

各種

評価

のた

めの

動物

実験

中。

基礎

評価

のた

めの

動物

実験

中。

技術

は平

成1

2年

から

臨床

応用

し既

に4

0例

。(京

都府

立医

大)Ste

ven-

Johnso

n症

候群

や外

傷な

ど、

角膜

移植

の成

功率

に問

題の

ある

疾病

で臨

床へ

神経

ガイ

ド管

と靭

帯・腱

再生

用人

工足

場は

動物

実験

段階

プリ

オン

や、

ヒト

感染

性の

レト

ロウ

イル

スの

問題

を意

識す

る必

要が

ある

角膜

上皮

だけ

でな

く実

質と

内皮

の再

生や

免疫

回避

など

によ

る人

工角

膜の

実現

に期

待。

課題

神経

人工

神経

技術

概要

企業

研究

状況

実用

化フ

ェー

人工

足場

産業

分野

商品

一般

生産

22

(出所:各社ホームページ等

の情

報を

もと

に日

本総

合研

究所

作成

製品

、サ

ービ

ス分

類再

生部

位血

管尿

道括

約筋

尿道

括約

筋皮

膚、

骨、

歯造

血幹

細胞

商品

(名

)H

ylag

el∃

Uro

FG

F-2 (bF

GF)

HIF

-1a'

遺伝

子治

療薬

HG

F遺

伝子

治療

VEG

F遺

伝子

治療

薬(V

MD

A3

60

1)

レト

ロネ

クチ

生体

組織

に広

く分

布し

、間

葉系

細胞

に対

し強

力な

増殖

促進

効果

を発

揮す

る高

分子

血管

新生

作用

のた

めの

医薬

品。

血管

新生

作用

によ

り虚

血性

疾患

を治

療す

る医

薬品

血管

新生

作用

によ

り虚

血性

脚部

疾患

を治

療す

る医

薬品

造血

幹細

胞等

の血

液系

細胞

へレ

トロ

ウィ

ルス

ベク

ター

を用

いて

高効

率に

遺伝

子導

入す

るの

に必

須な

組換

え蛋

白質

アド

バン

スト

・テ

ィッ

シュ

・サ

イエ

ンシ

ズ(米

アド

バン

スト

・テ

ィッ

シュ

・サ

イエ

ンシ

ズ(米

)ジ

ェン

ザイ

ム(米

)科

研製

薬(日

)キ

ャン

ブレ

ック

ス(米

)ジ

ェン

ザイ

ム(米

)ア

ンジ

ェス

MG

(日

)バ

イロ

メド

社(韓

国)

タカ

ラバ

イオ

(日

繊維

芽細

胞に

基づ

く新

しい

血管

の形

成お

よび

成長

を促

進す

る血

管成

長因

子と

、代

替血

管を

臨床

前研

究中

尿失

禁の

ため

の注

射可

能な

マト

リッ

クス

を研

究中

尿道

の筋

肉内

に注

射す

るこ

とで

括約

筋筋

肉間

の結

合組

織を

増殖

させ

、尿

失禁

を治

療す

るた

めの

注射

用ヒ

アル

ロン

酸塩

基を

開発

中。

血管

新生

作用

、肉

芽形

成促

進作

用を

発揮

し、

皮膚

欠損

の再

生を

促し

た。

骨芽

細胞

増殖

促進

作用

によ

り借

骨形

成を

亢進

させ

た。

歯槽

骨欠

損の

再生

を促

進し

た。

気管

、内

皮、

繊維

芽、

免疫

系、

ケラ

チノ

サイ

ト、

メラ

ノサ

イト

、神

経、

腎臓

、骨

格、

骨格

筋、

平滑

筋、

間質

の各

種細

胞の

成長

因子

サイ

トカ

イニ

ンを

製品

化。

虚血

性心

疾患

に対

する

Hyp

oxi

a In

ducib

lefa

cto

r-1A

lpha(

HIF

-1

α)を

用い

た血

管新

生遺

伝子

治療

薬を

開発

中。

また

、先

天性

心疾

患や

、再

狭窄

防止

の遺

伝子

治療

も開

発中

HG

F(肝

細胞

増殖

因子

)を

コー

ドす

る遺

伝子

を用

いた

医薬

品。

血管

新生

作用

によ

り虚

血性

疾患

を治

療。

末梢

性血

管疾

患、

虚血

性心

疾患

、脳

血管

性痴

呆、

アル

ツハ

イマ

ー痴

呆、

パー

キン

ソン

病に

適用

期待

血管

内皮

細胞

増殖

因子

(V

EG

F)遺

伝子

をプ

ラス

ミド

ベク

ター

を用

いて

直接

筋肉

注射

する

こと

によ

り、

虚血

性脚

部疾

患の

治療

薬と

して

開発

中。

虚血

性心

疾患

に対

する

治験

の準

備も

進め

てい

る。

全世

界の

34ヶ

所の

医療

機関

で臨

床研

究を

申請

又は

実施

中、

2社

が商

業的

利用

。レ

トロ

ネク

チン

はレ

トロ

ウィ

ルス

ベク

ター

を用

いた

遺伝

子治

療の

スタ

ンダ

ード

とな

りつ

つあ

る。

ラッ

ト、

ビー

グル

犬、

カニ

クイ

ザル

を用

いた

動物

実験

で成

果。

米国

にて

臨床

フェ

ーズ

1。

韓国

で治

験フ

ェー

ズⅠ

終了

。フ

ラン

ス・イ

ギリ

スに

おい

て重

症複

合免

疫不

全症

(SC

ID-

X1)

の遺

伝子

治療

に成

功。

イタ

リア

、モ

ルメ

ド社

が、

同種

骨髄

移植

での

TK遺

伝子

導入

によ

るG

VD

H予

防治

療の

フェ

ーズ

I/II。

研究

状況

実用

化フ

ェー

課題

産業

分野

商品 技

術概

企業

一般

生産

遺伝

子治

血管

細胞

増殖

因子

細胞

増殖

因子

23

(出所:各社ホームページ等

の情

報を

もと

に日

本総

合研

究所

作成

製品

、サ

ービ

ス分

再生

部位

軟骨

骨、

軟骨

、神

商品

(名

)幹

細胞

工学

技術

成体

細胞

分離

、増

殖、

分化

技術

hM

SC

(ヒ

ト間

葉幹

細胞

)製

ES細

胞分

化技

術D

endrito

phag

es

MA

K c

ell(

免疫

細胞

処理

)免

疫細

胞処

理細

胞治

3種

の幹

細胞

の分

離、

培養

技術

を確

立。

ヒト

脂肪

成体

幹細

胞を

用い

た各

種組

織修

復と

造血

促進

ES細

胞を

各種

組織

へ分

癌治

療な

ど自

己免

疫療

法の

ため

の免

疫細

胞処

理技

細胞

分離

技術

を利

用し

た癌

免疫

や造

血幹

細胞

の増

幅や

再生

医療

協和

発酵

(日

イン

テグ

ラ・ラ

イフ

サイ

エン

ス(米

アー

ティ

セル

サイ

エン

ス(米

台湾

工業

技術

研究

院(台

国立

シン

ガポ

ール

大学

(シ

オシ

リス

・セ

ラピ

ュー

ティ

クス

(米

イン

ター

サイ

テッ

クス

(英

)ジ

ェロ

ン(米

)イ

ムノ

‐デ

ザイ

ンド

・モ

レキ

ュル

ーズ

(仏

イム

ノ‐デ

ザイ

ンド

・モ

レキ

ュル

ーズ

(仏

JB

セラ

ピュ

ティ

ック

ス(日

キリ

ンビ

ール

(日

成体

神経

幹細

胞、

成体

中胚

葉系

幹細

胞、

成体

多能

性幹

細胞

の3

つの

分離

、培

養技

術を

開発

。今

後、

ヒト

幹細

胞の

分離

、培

養の

大学

など

での

基盤

技術

開発

を支

援し

、細

胞医

薬(再

生医

療)を

目指

す。

生体

内軟

骨再

生技

術の

開発

予定

ヒト

脂肪

から

採取

した

成体

幹細

胞を

分離

、増

殖す

るた

めの

コア

技術

を開

発し

、各

種細

胞へ

の分

化も

解明

。軟

組織

再生

、造

血促

進、

骨の

修復

、軟

骨修

復、

神経

細胞

修復

など

を事

業化

骨髄

から

間葉

幹細

胞、

臍帯

血か

ら造

血幹

細胞

、脂

肪と

肝臓

から

成体

幹細

胞、

セル

ライ

ンか

らヒ

ト胚

幹細

胞を

採取

し、

分化

の誘

導、

培養

条件

の適

化の

研究

中。

ヒト

骨髄

間葉

幹細

胞の

培養

・分

化の

研究

中。

成人

骨髄

中に

ある

自家

間葉

系幹

細胞

を培

養し

、血

球や

骨、

腱・筋

肉な

どの

細胞

・組

織を

作る

こと

に成

功。

心筋

組織

の再

生、

歯槽

隆起

の再

生、

半月

板の

再生

など

を実

験中

幹細

胞の

神経

や心

筋組

織へ

の分

化の

コン

トロ

ール

(細

胞の

再プ

ログ

ラミ

ング

)の

研究

中。

ヒト

胚幹

細胞

(ES細

胞)よ

り神

経、

心筋

、肝

臓細

胞、

血液

生成

細胞

、イ

ンシ

ュリ

ン陽

性細

胞、

骨生

成細

胞を

分化

させ

るこ

とに

成功

。現

在、

神経

、心

筋、

肝臓

細胞

、血

液生

成細

胞を

動物

に投

与実

験中

。今

後、

ES細

胞よ

り軟

骨細

胞を

分化

させ

る予

定。

既存

のも

強力

な自

然の

アジ

ュバ

ンド

であ

る樹

状細

胞か

ら開

発さ

れた

ワク

チン

。腫

瘍の

抗体

を持

ち、

特定

の病

に対

する

免疫

反応

を促

進す

るた

めに

注入

する

自家

単核

白血

球由

来の

抗体

を備

えた

腫瘍

細胞

破壊

細胞

。目

標と

する

癌細

胞の

表面

上の

特定

の抗

原に

、破

壊細

胞を

リン

クさ

せ、

抗体

機能

を改

善さ

せる

98年

にD

endro

n(米

)と

提携

し、

樹状

細胞

治療

の技

術導

入。

GM

P基

準を

満た

す細

胞処

理セ

ンタ

ーで

の細

胞調

整ビ

ジネ

ス。

造血

幹細

胞移

植領

域の

展開

を目

指す

近く、

米国

食品

医薬

品局

(FD

A)へ

の申

請を

見込

む。

全て

臨床

前実

験中

。歯

槽隆

起は

、犬

歯モ

デル

で、

全く

異な

る異

質遺

伝子

型の

MSC

を用

いて

大き

な欠

損が

修復

可能

であ

るこ

とを

実証

。ま

た、

ヤギ

に関

節内

注射

によ

りM

SC

を注

入し

、急

速な

半月

板の

再生

、長

期回

復反

応、

主な

軟骨

への

ダメ

ージ

に対

する

間接

的保

護を

確認

1995年

5月

に英

ロス

リン

研究

所の

関連

会社

を買

収し

、体

細胞

クロ

ーン

技術

を獲

得。

ES細

胞を

用い

て患

者と

同じ

遺伝

子を

もつ

臓器

や組

織を

作る

こと

が、

理論

上可

能に

なっ

た。

現在

、臨

床フ

ェー

ズⅡ

。現

在、

臨床

フェ

ーズ

Ⅱ、

Ⅲ。

細胞

の精

製と

増殖

に時

間が

かか

り、

緊急

の場

合に

使え

ない

。ま

た患

者が

老齢

であ

る場

合や

骨髄

に癌

があ

る場

合は

使え

ず、

使用

が患

者個

人に

限ら

れる

研究

状況

実用

化フ

ェー

培養

サー

ビス

課題

産業

分野

商品

技術

概要

企業

細胞

増殖

、分

離、

処理

異種

移植

細胞

治療

心臓

、腎

臓、

肺、

腸、

膵臓

、血

管、

心臓

弁、

角膜

、皮

アイ

ソレ

ック

ス 3

00i

ost

eocodeョ

pro

ost

eocodeョ

med

移植

用臓

器の

提供

のた

めの

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○技術動向調査委員会(ライフサイエンス分野)委員名簿(敬称略)

委員長  大石 道夫 財団法人かずさDNA研究所 所長、東京大学 名誉教授副委員長 菅野 純夫 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター           ゲノム構造解析分野 助教授         委  員 一條 久夫 独立行政法人産業技術総合研究所 技術情報部門 部門長委  員 多喜田圭二 新エネルギー・産業技術総合開発機構           バイオテクノロジー開発室 室長      専門委員 大野 邦夫 旭メディカル株式会社 技術最高顧問、           日本医療器材工業会 再生医療懇話会 代表幹事  専門委員 久留島豊一 株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 研究開発部 部長 専門委員 三宅 淳  独立行政法人産業技術総合研究所           ティッシュエンジニアリング研究センター 副センター長   専門委員 十川 好志 株式会社島津製作所 分析計測事業部           ライフサイエンスビジネスユニット 統括マネージャー(部長)   専門委員 中村 斉  株式会社日立製作所 ライフサイエンス推進事業部 事業企画本部           企画統括センタ長専門委員 峰野 純一 タカラバイオ株式会社 バイオ研究所 主幹研究員

専門委員 藤尾 達郎 協和発酵工業株式会社 リサーチフェロー専門委員 光田 賢  住友化学工業株式会社 技術・経営企画室 担当部長

○ 本技術調査レポートの作成に当たっては、経済産業省から㈱日本総合研究所への14年度委託調査「平成14年度産業技術調査(分野別技術動向調査)」の中での検討、特にそのために設けられた上記調査委員会のアドバイスを活用した。

参考文献[1] Methods of Tissue Engineering, edited by A.Atala and R.P.Lanza, Academic Press, 2002.[2] 再生医学がわかる, 横田崇編、羊土社、2002.[3] 再生医学再生医療、室田誠逸編、東京化学同人、2002.[4] 再生医工学、筏義人編、化学同人、2001.[5] バイオベンチャー「特集:産業化へ動き出した再生医療」、羊土社、2001年9-10月版[6] 21世紀の再生医療、井上一知監修、シーエムシー、2000[7] 特許庁、特許マップシリーズ・化学17「細胞利用技術」、2000[8] 特許庁、特許出願技術動向分析調査      「バイオテクノロジーの医療分野への応用に関する技術動向調査」、2001