月刊現代ギター - 2016年2月号

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株式会社 現代ギター社 

(本体 1,200 円 + 税)定価 1,296 円

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11 特集 第 58 回東京国際ギターコンクール

CONCERT PHOTO REPORT

24 コンサート・フォトレポート 荘村清志 & 福田進一 安藤初代 & 渋谷 環 アナ・ヴィドヴィチ 大萩康司〔共演〕河野紘子(Pf) ギタリストによる四人会 日渡奈那〔共演〕笠井友紀(Vn) 新井伴典 & 松田 弦 アコースティックギターサミット 2015

REPORT

20 第 61回九州ギター音楽コンクール22 第 23回名古屋ギターコンクール48 日本・中国ギター界文化交流コンサート52 ジャカルタ・アセアン・ギターフェスティバル57 第 6回いいづなムジカ・フェスタ    2015inNAGANO

INTERVIEW

32 セルソ・マシャド40 Jiro'sBar ~濱田滋郎対談[35]

    武満真樹(音楽プロデューサー)

62 ギジェルモ・ボッカネグラ

READING / ESSAY / LECTURE

35 ポインツ・オブ・ギターテクニック[23]

    松尾俊介44 愛器を語る[83]

    ザビエル・ジャラ(ウーゴ・キュヴィリエ)60 演奏会・コンクール通信 201567 あなたの街の~ギター教室紹介〔11〕

INFORMATION

34 海外の新刊書68 新譜案内70 外盤案内72 新刊案内76 めもらんだむ94 今月の見どころ聴きどころ96 イベント&コンサートガイド100 コンクール・インフォメーション

ENSEMBLE

92 アンサンブルの広場

SCORE

113 今月の楽譜解説114 50 の漸進的な小品Op.59 より第 1番~第 9番   (カルカッシ~原善伸)118 マイ・フェイバリット・シングス   (ロジャーズ~啼鵬)122 花のうた(小関佳宏)123 レッド・ノイズ(冨山詩曜)126 チェントーネ・ディ・ソナタ第 1番(パガニー   ニ)

Vol.50 No.2 February2016 No.626 February

       アナ・ヴィドヴィチ

●表紙 セルソ・マシャド

73 オールド・ポップス・コレクション〔23〕

   まつり(北島三郎) (たしまみちを)77 ポピュラー・ヒット・レパートリー〔35〕    粉雪(レミオロメン)   (小関佳宏)80 EtudePub ~ギター・ベーシック・レパートリー     完全攻略〔11〕          (坂場圭介)82 アンサンブルに聴く巨匠の名技〔11〕

                    (朝川博)84 atempo 日記〔71〕(渡辺和彦)86 レパートリー充実講座〔251〕(岩崎慎一)        スペイン舞曲第 5 番「アンダルーサ」(グラナドス)

90 ロンドン便り〔73〕(ワシリー・サバ/訳:関塚亮司)

64 第 2 特集 ジュディカエル・ペロワ・テクニックノート

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月刊『現代ギター』価格改定のお知らせ月刊『現代ギター』は、2016 年 4 月号(No.628)より通常号価格を 200 円値上げし、定価 1,400

円+税へと改定させて頂きます。前回改定時(2000 年 4 月号)から 16 年間に渡って価格を

据え置きして参りましたが、ここ数年来の物価上昇、印刷代・用紙代等諸経費・原材料費の高騰、

カラー頁・楽譜頁の増加等に伴い、現行価格を維持することが甚だ困難な状況となって参り

ました。

本誌御愛読の皆様の御要望に応え、スタッフ一同、一層の誌面充実に邁進する所存でござい

ますので、何卒、御理解を賜りますよう御願い申し上げます。(月刊『現代ギター』編集長 渡邊弘文)

●定期購読料金変更のご案内

◎ 2016 年 4 月 1 日より定期購読料金を下記に変更致します。

2016 年 3月末日申込分まで

1 年間購読 税込 15,552 円(12 冊+無料進呈 1 冊 計 13 冊)

2016 年 4月 1日申込分から

1年間購読 税込 16,330 円(12 冊)

◎定期購読に限り、通常定価(1,400 円)の 1 割引とさせて頂きます。 (定価 1,400 円× 90%= 1,260 円× 12 冊= 15,120 円 × 消費税 8%=税込 16,330 円)◎新規・継続申込者への次年度最新号 1 冊無料進呈は終了とさせて頂きます。何卒ご了承ください。◎定期購読に限り、送料無料でご自宅までお届け致します。◎定期購読に限り、DVD・CD・カレンダー等が付録に付いた特別定価の号も通常価格となります。◎臨時増刊号は含まれません。ご了承ください。

■定期購読のお申込みについて・定期購読のお申込みは、弊社ホームページ(http://www.gendaiguitar.com/)および本誌添付の「払込取扱票」にて 承ります。・「払込取扱票」にてご入金の際は、お近くのゆうちょ銀行にてお振込みください。ご記入の際は楷書体ではっきりと お書きください。・ご入金後のご解約・ご返金には応じかねますので、あらかじめご了承ください。受領書はお支払の控えとなりますの で大切に保管してください。・クレジットカード払いもご利用頂けます。その際は弊社ホームページ(http://www.gendaiguitar.com/)から、また は電話 03-3530-5343 までご連絡ください。・銀行振込/コンビニ決済はお取扱いしておりません。・毎月のご購読誌は郵便でお届け致します。各月 23 日頃のお届け予定ですが、郵便事情により稀に遅延する場合がご ざいます。ご了承ください。・開始号のお届けは、お時間を頂く場合がございます。

■定期購読についてのお問い合わせは株式会社 現代ギター社 GG 通販サービス 〒 171-0044 東京都豊島区千早 1-16-14 http://www.gendaiguitar.com/ E-mail [email protected] Tel. 03-3530-5343 Fax.03-3530-5405電話受付 12:00 ~ 17:00(土・日・祝は休業)

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――優勝おめでとうございます。昨年の第 2 位に続く快挙ですね。ジャラ(以下 J) ありがとうございます。――去年と比べて、何か変わった印象はありますか?J 去年はトマ・チャバ(昨年優勝者)と一緒にパリから東京に来て、すべてのことが初めてなので戸惑いました。今年は一人で来ましたが、多少は慣れました。それでも、しばしば昨年のことがフラッシュバックのように思い出されました(笑)。

――今回の課題曲(原 嘉寿子作曲〈前奏曲、アリア、トッカータ〉)はどうでしたか?J 去年(伊福部 昭作曲〈箜篌歌〉)よりは楽でした。暗譜が楽でしたし……去年の課題曲は長くて暗譜がしにくく、おまけに楽譜の入った荷物が成田空港で出てこなくて、手元に戻ったのが本番の 2日前でしたから、大変でした(笑)。――そして楽器も替えましたね?J いえ、去年と同じです。ウーゴ・キュヴィリエのギター。――そうですか! まったく別の楽器の

ように聴こえました。大きな音で、しかも良い音でした。J 楽器も私も少しは成長したんじゃないでしょうか(笑)。――もう演奏活動も始めていますか?J コンサートはコンクール優勝の賞の1 つとしてはあります。コンクールより楽しいですね(笑)。――来年は日本でも優勝記念のコンサート・ツアーがありますね。J ええ、10 回くらいあるそうです。トマが「1 週間に 6 回もコンサートがあった」と言っていました(笑)。

The 1st.prize winnerXavier Jaraa

優勝者インタビュー

ザビエル・ジャラ Xavier JARA インタビュアー/中里精一

Gendai Guitar 11

第58回東京国際ギターコンクール

58th Tokyo International Guitar Competition

出場2回目のジャラさらなる進化を遂げて東京・名古屋 二冠を奪取!2015 年 12 月 5 ~ 6 日、Hakuju Hall で開催された第 58 回東京国際ギターコンクール。海外各国から集結した強者を、国内精鋭が迎え撃つ構図の中、前年準優勝のザビエル・ジャラが飛躍的な進化を遂げて、ハイレベルで熾烈な争いを制した。以下にその模様をお伝えする。

2015 年 12 月 5 日、6 日Hakuju Hall主催:公益社団法人日本ギター連盟写真:東 昭年

5th, 6th December 2015Hakuju HallHosted by Japan Federation of GuitaristsPhoto by Akitoshi Higashi

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24 Gendai Guitar

荘村清志と福田進一によるデュオアルバム『DUO Shomura & Fukuda』の発売記念コンサートが Hakuju Hall で開催された。プログラムはアルバム収録曲が大半を占めたが、未収録ながらも〈アンクラージュマン〉は古典作品の何たるかを両巨匠が指し示してくれているような快演であった。しかし何と言っても最後に演奏された久石 譲の〈Shaking ~〉が当夜のハイライトと言って良いであろう。ミニマル・ミュージックとフラメンコの融合といった曲想だが、“揺れ動く不安と夢の球体”という邦題が与えられているように、無窮動の 2 パートが極めて快速にしかも異なるリズムで進行していくこの超難曲を、最後にビシッと決める辺りは、さすがの貫禄であった。

プログラム:ルネッサンス期の 2 つの小品~デゥリュリーの和音、ナイチンゲール(作者不詳)、アダージョ(アルビノーニ~ジャゾット~ラゴヤ)、アンクラージュマン Op.34(ソル~コスト)、リキアの王女(サイ)、ニュー・シネマ・パラダイス(モリコーネ~鈴木大介)、カヴァティーナ(マイヤース~鈴木大介)、アランブラの想い出(タレガ~サグレラス)、スペイン舞曲第 1 番(ファリャ~プジョール)、オリエンタル(グラナドス~荘村清志)、エディット・ピアフを讃えて(プーランク~福田進一)、Shaking Anxiety and Dreamy Globe(久石 譲)

[2015 年 11 月 17 日/東京・Hakuju Hall]

荘村清志Kiyoshi Shomura

福田進一Shin-ichi Fukuda

写真提供:Hakuju Hall

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32 Gendai Guitar

ギターの魔術師 初来日!!

セルソ・マシャド◎プロフィール現代ブラジルが生んだ最高峰のギタリスト、パーカッショニスト、作曲家。アフリカ系ブラジル人の血が持つリズムとハーモニー、エモーションを土台にクラシックギターの奏法と世界最高とも評価されるパーカッションの技術により、現代的な美を体現できる類稀な音楽家である。彼は約 40 年間にわたりブラジル、ヨーロッパ、カナダ、アメリカでコンサートを開催し、彼が放つ音楽的インスピレーションと魅惑的なリズムの絶妙な融合は常に聴衆を虜にして来た。また、数々のレコーディングも行なっており、いずれも高評を得ている。セルソは作曲家としても著名であり、彼の音楽は、伝統的なクラシック音楽をベースに、ブラジルの民俗音楽であるサンバ、ショーロ、バイヨン、フレーヴォなどからの影響、それらと多数の共通点を持つアフリカのリズムを融合させた、非常にユニークなものである。ラテン・アメリカの芳香に満ちた重要なレパートリーとして、クラシックギタリストにも頻繁に取り上げられ、数多くのアーティストがレコーディングを行なっている。セルソは周りに存在する全ての音や全ての物、どんなものでも音楽にしてしまう稀有な能力を持っており、ギターはもとより顔や身体をも駆使するその演奏は " ギターの魔術師 " の異名に相応しいものである。

cover story

セルソ・マシャド

2015 年 12 月 20 日 インタビュアー:渡邊弘文(本誌編集長)

Celso Machado

――随分と若い頃から活動されていると伺いましたが?マシャド はい。14 歳の頃にはすでにナイトクラブや劇場に出演していました。ブラジルでは有名なシンガーのバック・ミュージシャンを務めていたのです。――ギターの先生はどなたですか?マシャド 私の最初のギターの先生は、兄のフィロとディトでした。そして、15 歳の頃からクラシックギターのレパートリーを勉強し始めました。南米でもよく知られているバリオス、ヴィラ=ロボス、タレガ、アルベニス、そしてバッハの作品などです。正式なクラシックギターのレッスンを受けたのはワトソン・ブリトーという先生が最初です。それからルイス・ブリンディニという先生に就き、その後オスカー・ギリアに師事しました。ギリアに習ってから間もなく、嬉しいことに、私はクラシックギタリストとして、また、ポピュラー音楽の演奏家として名前を知られるようになりました。――影響を受けたギタリストは?マシャド バルボサ=リマ、バーデン・パウエル、アルマンディーニョ・ネべス、そしてアグスティン・バリオスから強い影響を受けました。――あなたのご家族も音楽家だそうですね?マシャド はい。父のジェラルドもギタリストでした。彼は自らの楽団を率いてテナー・ギターを演奏していました。私は 6 人兄弟ですが、幼い頃から私の家庭では、自分たちの身体や口、テーブル、箱、フライパン、紙切れなどが片っ端から、スルド、アゴゴ・ベル(いずれも

ブラジルの打楽器)やバス・ドラム、シェイカーズ、タンバリンなどの楽器のイミテーションに変わったものです。現在は、そのうちの 5 人がプロのミュージシャンとして各々独自のキャリアを築いています。それでも私たちは一緒に演奏することが大好きなんです。ギタリスト、ヴォーカリストであり、マルチな楽器奏者であるフィロ、ヴォーカリストであるカリンホス、パーカッション奏者のゲラと共に、私はブラジルで“マシャド・ブラザーズ”としてツアーを行なっています。――皆さん、ポピュラー系の音楽家なのでしょうか?マシャド いいえ、ポピュラーだけではありません。ブラジルには「サンバは足から始まる」という諺がありますが、サンバの国の中心部であるサンパウロに生まれた私たちは、父親から等しく音楽の伝統を受け継ぎ、片足をクラシックに、もう一方をポピュラーに置いています。――あなたは作曲家としても有名ですが、あなたの音楽はどういうジャンルに分類されるのでしょうか? 例えば、ブラジル音楽、コンテンポラリー、ジャズ、ワールド・ミュージック…… マシャド まず第一に言いたいのですが、“ワールド・ミュージック”という言葉は無意味です。私はその言葉が好きではありません。ですから、それは使用しないでください。私は音楽というものはその中に、すべての国々、すべての人々、すべてのスタイル、そして、すべての楽器(誰かが作ったものであれ、自然に存在するものであれ)を含んでいると信じています。私の音楽はブラジルにルー

サンバ、ボサノヴァ、ショーロ、バイヨン、フレーヴォなど豊穣なブラジル音楽を、その凄まじいギターテクニックで表現することから、" ギターの魔術師 " の異名を持つブラジルのギタリスト兼パーカッション奏者、セルソ・マシャドが 2月に初来日する。彼は作曲家としても著名であり、その作品はクラシックギタリストによっても頻繁に取り上げられている。来日公演を間近に控えた " 魔術師セルソ " にお話しを伺うことが出来たので、以下に紹介したい。

熱狂するリズム !溢れるインスピレーション !!

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──武満 徹さんは世界一流の作曲家でいらっしゃって、ギターに興味をお持ちになって、あれだけたくさんの曲を書いていただけたというのはギタリストにとっては何よりも嬉しいことです。その昔、バッハがリュートのために音楽を書いていたのと同じくらいにありがたいことだと思っています。武満真樹(以下真樹) 映画音楽でいくつかのギター作品は手掛けていましたが、コンサート作品としてギター音楽を書くようになったのは、やはり荘村(清志)さんとの出会いが大きかったと思います。──荘村さんはいきなり武満さんを訪ねて行かれたらしいですね。真樹 当時は私も子供だったのではっきりとは覚えていないんですけど、荘村さんが直接うちに電話を掛けてこられて、母がたまたま直前に NHK テレビで、デビューしたての荘村さんの演奏を観ていて「あ、ついこの前TV に出ていた人だ!」ということで、父に電話を取り

次いだんです。それで「じゃあ、家においでよ」ということになって、そこからギターという楽器に深く関係するようになったんです。考えてみると亡くなる直前に鈴木大介さんが父の作品をレコーディングされて、そのデモ盤は聴いていると思いますし、その後に大萩さんや村治(佳織)さんのように若いギタリストが出て来られたので、もし今、父が生きていたらギター曲をものすごくたくさん書いていたんじゃないでしょうか。──そうですね。そう思うと少し残念です。真樹 特に『ギターのための 12 の歌』はとても楽しんで書いていました。あの作品は最初、荘村さんに「アンコールでこういう曲をやったら?」と趣味で始めたらしいんですけど、今、こんなに個性的で優秀な若いギタリストの方がたくさんいらっしゃるなら、きっと二重奏版や三重奏版を作っていただろうなと思います。そう考えるとあと 10 年くらい生きていたら本人も楽しめたでしょうね。

No.35写真 宮島折恵

40 Gendai Guitar

武満真樹Maki Takemitsu(音楽プロデューサー)

1961 年東京生まれ。上智大学外国語学部比較文化学科卒業。大学在学中より2000 年初頭まで洋画翻訳家

(字幕・吹き替え)として 300 本を超える映画、TVドラマの翻訳を行なう。その後コンサートの企画、司会、テレビ・ラジオの音楽番組の進行役・インタビュアー、エッセイ執筆などを手掛けるようになる。2008 年から2012 年まではサイトウ・キネン・フェスティバル松本(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)と小澤征爾音楽塾の広報を担当。2013 年より音楽事務所KAJIMOTOに勤務。

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44 Gendai Guitar

写真:木田新一

愛器を語る

ザビエル・ジャラ ◆ウーゴ・キュヴィリエ(2013)

Xavier Jaraアメリカ出身。93 年生まれ。A. セゴビアコンクール、ボストンギターフェスティバル第 1 位、第 58 回東京国際ギターコンクール第 1 位、他数々のコンクールで入賞。現在、パリ国立高等音楽院にてオリヴェ・シャッサンに師事 (その他、プロフィール詳細は 12 頁を参照)。

写真:木田新一

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64 Gendai Guitar

ジュディカエル・ぺロワ      テクニックノート

 実は私自身いわゆるテクニック練習をしたことがほとんどありませんし、それを生徒に課すかどうかについては、常に躊

た め ら

躇いがあります。 それに、これまで自分自身が教わったことを思い起こしてみても、私はテクニック練習云々よりも、まずは真っ先に演奏や音楽をする思考そのものを考えて来ました。 実際に、上級の生徒達はそれぞれ違った学校で学び、それぞれのスタイルを持っていますが、皆テクニック練習だけでなく、さらに実用的な練習方法を見つけ出しています。つまり、どのように練習するかと言うことが大事なのです。そして、テクニック練習の目的をはっきりと知ることはとりわけ重要です。 時々ではありますが、生徒達の中に、音楽理論やソルフェージュが自身の音楽といかに関連しているかを、あまり理解し切れていない人を見かけます。しかしそれでは、アルペジョやスケールを練習することだけが、彼らの最終目標になってしまうこともあり得ます。 リラックスした状況下でスケールやアルペジョをいく

第二特集

昨年 10 ~ 11 月の来日公演では、その怪物ぶりに益々磨きが掛り聴衆の度肝を抜いたジュディカエル・ぺロワ。演奏家としての才能の高さは言うまでもないが、本誌のインタビューでも「教えることが大好き」と語っていたように極めて優れた教育者でもある。本号で紹介した彼の二人の生徒ザビエル・ジャラとトマ・チャバが 2年連続で東京国際ギターコンクール・名古屋ギターコンクールを制したように、その門下からは次々と世界の主要国際ギターコンクールの覇者が誕生している。昨年末、ぺロワから「こんなの書いてみたんだけれど、よかったら『現代ギター』に載せてくれない?」と送られて来たのが、以下に掲載するテクニックノートである。“ぺロワ・マジック”のほんの一端ではあるが紹介したい。

ジュディカエル・ぺロワ Judicael Perroy1973 年パリ生れ。7 歳よりギターを始める。1994 年パリ・エコールノルマル音楽院を演奏家ライセンスを得て卒業。1996 年パリ国立高等音楽院を首席卒業。ギターをアルベルト・ポンセ、ロベルト・アウセル、デリア・エストラーダ、レイモン・グラシア、ダニエル・ラヴィエールに師事。イル・ド・フランス国際ギターコンクール第 2 位(1987)、第 15 回ルネ・バルトリ国際ギターコンクール優勝(1992)、第 7 回 Bourg-Madame 国際ギターコンクール優勝(1994)、第 15回 GFA 国際ギターコンクール優勝(1997)。世界各地でリサイタル、マスタークラスを開催。ナクソスを始め CD 多数発売。2004 年より Ecole Nationale de Musique d'Aulnay-sous-Bois ギター科教授。

文/ジュディカエル・ぺロワ翻訳/生田直基

Judicael Perroy Technique Note

ら速く弾けるようになったとしても、それが実際の曲の中では正確に演奏出来なかったり、難しく感じてしまっていてはいけません。さらにそういった生徒達は、テクニックだけに夢中になり過ぎてしまうことで、音質そのもの、デュナーミク(強弱法)、アーティキュレーション(発音方法)といった、音楽に必要不可欠な要素を軽視しがちになる傾向があります。 それではこれから、基本的な音質向上に有効であると思われるエクササイズを、幾つか紹介しましょう。

Exercise 1:Sound production練習 1(音質)

[ステップ 1] まずは、②弦の 1 ~ 4 フレット上で音質を均一に保ちながら半音階をしてみましょう。右手の運指はどんな組み合わせ(i-m, i-a, i-m-a など)であっても、一定にするよう心がけることが大切です。

Pôles supérieurs de Seine-Saint-Denis、Nord-Pas-de-Calais、CRD d'Aulnay-sous-Bois 音楽院にて教鞭を執るジュディカエル・ペロワがテクニック上達のための秘訣を伝授 !!

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②弦

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