SIG-Audio#1 CEDEC2012 ラウドネス関連セッション報告

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今年8月に行われたCEDEC2012ではラウドネスに関連するセッションがいくつか行われました。その中で語られた、テレビ業界・音楽業界・ゲーム業界、それぞれの取り組みについての報告になります。

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CEDEC2012 ラウドネス関連セッション報告

バンダイナムコスタジオ 中西 哲一

2012/11/16

CEDEC2012 ラウドネス関連セッション

• 招待セッション

–適切な音量について考える ゲームオーディオのラウドネス基準はどうあるべきか?

• ラウンドテーブル

–ゲームオーディオとラウドネス測定 〜人の感じる音量感を測定したとき、 その先に目指すべきものとは〜

• その他:ラウドネスについて言及があったセッション

適切な音量について考える ゲームオーディオの

ラウドネス基準はどうあるべきか?

株式会社フジテレビジョン 松永 英一

株式会社ポニーキャニオン 川崎 義博

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント 北原 恵一

株式会社カプコン 瀧本 和也

株式会社バンダイナムコスタジオ 中西 哲一

適切な音量について考える ゲームオーディオのラウドネス基準はどうあるべきか?

「テレビ放送における音声レベル運用規準」 10月1日より導入

CMも含め、各番組の音量感が統一されます

さてゲームオーディオはどうする?

松永 英一

株式会社フジテレビジョン 技術局 制作技術センター 制作技術部

エクゼクティブエンジニア

1979年 (株)フジテレビジョン入社 放送部に配属。マスター、回線系を担当

1981年 制作技術部音声に異動 以降、一貫して音声業務に従事

その間「ミュージックフェア」、「僕らの音楽」などの音楽番組、「夕やけニャンニャン」「クイズ・ドレミファドン」「なるほど!ザ・ワールド」などのバラエティー番組及びドラマ、映画の音声を担当

1999年 文化庁芸術祭優秀賞受賞ドラマ「少年H」の音声を担当

2002年 バレエ「ドラゴン。クエスト」で日本プロ音楽録音賞放送部門優秀賞受賞

2009年 民放連技術委員会の下部組織である「テレビ音声レベルWG」の主査を担当

2010年 ARIB「スタジオ音声作業班」に委員として参加

2011年3月 ARIB TR-B32策定(PGリーダーとして参加)

2011年5月 NAB技術規準T032策定

現在、本年10月1日のT032適用に向けて、関連団体、地方への周知を行っている。

川崎 義博

株式会社ポニーキャニオン プラットフォーム部 配信進行グループ

マネージャー

レコーディング、マスタリング、フィールドレコーディング、PA、 MA等、 様々な現場を経験して現在に至る。

■受賞暦■

主催:日本オーディオ協会、日本音楽スタジオ協会、日本ミキサー協会、日本レコード協会等(略称) 第14回日本プロ音楽録音賞 部門C「ニューパッケージメディア」最優秀賞 Sara Smile/市原ひかり(Tp Jazz) 第17回日本プロ音楽録音賞 部門A「2chパッケージメディア クラシック、ジャズ等」優秀賞 Close Your Eyes/Woog San(Vox Jazz) 第18回日本プロ音楽録音賞 部門A「2chパッケージメディア クラシック、ジャズ等」優秀賞 SCENES/小林桂(Vox Jazz)

北原 恵一

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ インターナルデベロップメント部 サウンド&ビデオグループ

シニアサウンドデザイナー

1999年 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント入社

以降、様々なゲームタイトルのサウンドデザインに携わる。

ゲームタイトルだけでなく、PlayStation®3、PlayStation®Vitaなど

ハードウェアのシステムサウンドデザインなども手掛ける。

瀧本 和也

株式会社カプコン 大阪制作部サウンド制作室

シニアサウンドエンジニア

1992年、東京のポスプロスタジオ業務に就き、放送、映画等のミキシング経験

1997年 カプコン入社

バイオシリーズ、モンスターハンターシリーズ等、カプコンのほぼ総てのタイトルに関わり、

カットシーンのミキシング、楽曲のレコーディング、ミキシング等を担当。

また、ゲーム音響制作現場のシグナルリファレンス策定や、現場環境の整備、

ゲームの発音に関するミキシングの視点からのアイデアを制作者と議論し、

クオリティアップの下支えを行っている。

内容

• 各業界のラウドネスに対する背景や取り組み

– TV放送業界 (フジテレビジョン 松永氏より)

–音楽業界 (ポニーキャニオン 川崎氏より)

–ゲーム業界1 (ソニー・コンピュータエンタテインメント 北原氏より)

–ゲーム業界2 (カプコン 瀧本氏より)

• どんな課題が残さているのか? – ディスカッション時間が足りないので、続きはラウンドテーブルへ

TV放送業界(フジテレビ松永氏)

• 「テレビ放送における音声レベル運用規準」 (T032)は国際基準とも足並みを揃えた規格。

• 導入実現まで約10年かかった。

• 民放は10/1より実施(NHKは半年遅れで実施)

• CM業界に対して電通主導でラウドネス準拠 の根回し

音楽業界(ポニーキャニオン川崎氏)

• 現状、ラウドネスに対して業界的な取り組みはまだ行われていない。

• 現状のものをラウドネスを計測したところ -21LKFS~-9.8LKFS(平均値)~-5.8LKFS

• ラウドネスやダイナミクスレンジも音楽ジャンルごとのカラーという考えが根付いている。

• 最初から-24LKFSで鳴らすことを考えれば、ミックスは大きく変わってくる。

ゲーム業界1(SCE JAPANスタジオ北原氏)

• SCE内部でのラウドネスへの取り組み

• 多くのゲームを計測し問題に取り組んだ

• SCE内部でのリファレンスを制定した

–据え置き機、携帯ゲーム機ごとに異なる

• PS3 -23LUFS (±2)

• PSVita -18LUFS

• TRCに盛り込むなどは現在は考えていない

ゲーム業界2(カプコン瀧本氏)

• カプコンではラウドネスを考慮したリファレンスでの制作環境を統一している。

• ゲームでのラウドネスについて様々な考察を行い、ある程度の目安を見出した。

• ミキシングはすべて瀧本氏のチェックを通る。

まとめ

• ゲームオーディオも音量基準を考慮した 音作りが必要となりそうだが、現在は各社まとまった見解に至っていない。

• 「適切な音量」について、各社が議論に参加し、納得感のある「推奨値」や「実現方法」を 共有するべきである。

ラウンドテーブル

内容

• ラウドネスに関するテーマについてディスカッションを行った。(答えを出す場ではなく、事例や意見を交換する場)

–各社、どのように取り組んでいる?

– -24LKFSを目指すことは本当に良いことか?

– どんな環境を整えればいいの?

– コストをあまりかけられない開発は、どうすればいいの?

その他:ラウドネスに対して言及があったセッション

• FF13-2において、ユーザーコンフィグという手間を煩わせない、ベストな音響表現を追求した

• 結果的に計測したものが-24LKFSに落ち着いていた

その他:ラウドネスに対して言及があったセッション

• サウンドフレームワークにおける「音情報の見える化」で効率的なデバッグ・調整を実現。

• すでにサウンドドライバにラウドネスメータを仕込んでいる。

以上