Rheumatoid arthritis 関節リウマチdruginfo/Rheumatoid arthritis...Rheumatoid arthritis...

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Rheumatoid arthritis関節リウマチ

臨床薬物情報学研究室

4年 上田真理

10 Musculoskeletal and joint disease case study Level-2

関節リウマチとは?

関節リウマチ(RA)とは、全身の関節軟骨の慢性炎症を主症状とする自己免疫疾患。

遺伝的因子

環境因子

ホルモン

感染

免疫異常関節滑膜増殖

関節炎

関節リウマチ-症状

・朝のこわばり(症状の持続時間は病態の重症度と関連)

・関節痛、関節の腫脹、関節の変形

手の指 近位指節間関節(PIP)中手指節間関節(MCP)

スワンネック変形 ボタン穴変形 尺側偏位 外反母趾

多発性

対称性

関節リウマチ-症状

・脊椎・・・上から1、2番目の頸椎に特異的に炎症

→めまい、しびれ、麻痺

・皮下結節

・全身倦怠感、食欲不振

・間質性肺炎

・シェーグレン症候群・・・乾燥性角膜炎

関節リウマチ-診断 ACR基準 (1987)

→4項目以上満たすときRAと診断 (*1~4は6週間以上継続)

関節リウマチ-診断 ACR/EULAR新基準(2009)

→6点以上でRAと診断

関節リウマチ-検査

・血清リウマトイド因子

・抗CCP抗体検査 →早期診断に利用

・MMP-3検査・ X線検査・・・胸部X線、骨X線・CRP,赤血球沈降速度(血沈、赤沈)→炎症の程度をみてリウマチの活動性を評価

・肝機能、腎機能検査

→抗リウマチ薬による副作用のチェック

関節リウマチ-治療

リウマチは原因不明なので、根本的治療法はない。

→治療の目標 ・関節炎等、症状の緩和

・関節破壊の進行抑制

・関節変形の予防

○薬物療法

○手術療法

○リハビリテーション

RA治療ガイドライン(2002)

アメリカリウマチ学会

関節リウマチに対するTNF阻害療法施行ガイドライン(2008) 日本リウマチ学会

生物学的製剤 →炎症性サイトカイン(TNFα)阻害→臨床症状改善・関節破壊進行抑制

<生物学的製剤の使用>

・既存のDMARDs通常量で3ヶ月以上継続使用しても次のいずれかを満たす場合。

1)圧痛関節数6以上かつ腫脹関節数6以上かつCRP>2.0mg/dl(or ESR>28mm/hr)

2)画像検査にて進行性の骨びらんを認める。3)DAS28-ESR>3.2で中等度活動性あり。

さらに日和見感染のリスクが低い状態として末梢白血球>4000/mm3かつ末梢リンパ球>1000/mm3かつ血中beta-D-グルカン陰性が望ましい。

薬物治療

抗リウマチ薬(DMARDs) →免疫調節、抑制

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) →抗炎症作用副作用:胃潰瘍、腎障害

ステロイド →坑炎症作用、免疫抑制

生物学的製剤 →坑炎症作用、骨破壊の抑制

副作用:感染症、アナフィラキシー反応

○抗リウマチ薬(DMARDs)

・金チオリンゴ酸ナトリウム ・オーラノフィン・ペニシラミン ・ブシラミン・ロベンザリット二ナトリウム ・アクタリット・サラゾスルファピリジン ・ミゾリビン・メトトレキサート ・レフルノミド・タクロリムス

①遅効性(効果発現まで1~3ヶ月かかる)

②患者によって効果が異なる

③長期使用により効果が減弱する場合もある

④比較的副作用が多い

⑤効果減弱例には多剤への変更または追加を考慮

ex)サラゾスルファピリジン1日1g 分2(朝、夕)

副作用:血液障害、肝・腎機能障害、間質性肺炎

メトトレキサート カプセル 2mg・開始時 一週間単位の投与量:6mg(3Cap)初日から2日目にかけて1回2mg、12時間間隔で3回投与(あとの5日間は休薬)

・増量時 一週間単位の投与量:8mg(4Cap)12時間間隔で3回(2→1→1Cap)

副作用:骨髄抑制、肝・腎機能障害、間質性肺炎

定期的な臨床検査が必要

○生物学的製剤・インフリキシマブ レミケード®・エタネルセプト エンブレル®・アダリムマブ ヒュミラ®・トシリズマブ アクテムラ®・アバタセプト オレンシア® (2010年7月~)

ex)インフリキシマブ (※MTXと併用して用いること)・生理食塩水に溶解し、体重1kgあたり3mgを緩徐に(2時間以上かけて)点滴静注。初回投与後、2週後、6週後に投与し、以後8週間隔で投与を継続する。

エタネルセプト・10~25mg 1日1回 週に2回 皮下注射

(自己注射可)

患者背景

【患者】 Mrs PJ 67歳 女性

【現病歴】 関節リウマチ

【処方】 サラゾピリン EN 500mg 分2ジクロフェナク 50mg 分3

パラセタモール 1g 分4

【主訴】

・2週間経つが処方薬が効いていると思えない。

・今後、定期的に肝機能検査、腎機能検査を受けるよう医師から言われたがなぜか分からない。

・処方された薬を飲み始めてから胃の不快感を感じるようになった。

4ヶ月後(再び薬局に訪れる)

・4ヶ月経ってもまだ薬の効果が得られない。

Problem List

#1 薬が効かないこと#2 定期検査の必要性について#3 処方薬の副作用

#1 薬が効かない

S:2週間経っても、4ヶ月経っても薬の効果を感じられないO: サラゾピリン EN 500mg 分2

ジクロフェナク 50mg 分3

パラセタモール 1g 分4

A:抗リウマチ薬(DMARDs)は遅効性薬剤であり効果発現まで1~3ヶ月ほどかかる

P:2週間では効果がまだ望めないので、臨床効果が得られるまで消炎鎮痛薬と併用して継続投与し、様子を見るよう説明する。

DMARDs

4ヶ月経過後も効果が得られない場合には、

他の抗リウマチ薬に変更または併用。

例 メトトレキサート(リウマトレックス® カプセル2mg)・開始時 一週間単位の投与量:6mg

初日から2日目にかけて1回2mg、12時間間隔で3回投与(あとの5日間は休薬)

8週間以上投与しても効果が得られない場合は、

一週間単位の投与量を8mgまで増量

#2 定期検査S:今後、定期的に肝機能検査、腎機能検査を受けるよう医師から言われたがなぜか分からない。

O:サラゾピリン EN 500mg 分2A:抗リウマチ薬は腎障害、肝障害をおこしやすい。P:定期的に腎機能、肝機能検査をうけ、薬による副作用の有無のチェックが必要であることを説明する。

投与開始後、最初の3ヶ月・・・2週間に1回次の3ヶ月 ・・・4週間に1回それ以降 ・・・3ヶ月に1回

・腎障害 ・・・BUN、血清クレアチニン↑・肝障害 ・・・AST、ALT↑

#3 処方薬の副作用

S:処方された薬を飲み始めてから胃の不快感を感じるようになった。

O: サラゾピリン EN 500mg 分2ジクロフェナク 50mg 分3

パラセタモール 1g 分4

A:NSAIDsは胃・十二指腸潰瘍などの胃腸障害を引き起こしやすい。

NSAIDs

P:①薬を処方・ミソプロストール(胃粘液分泌促進薬)

1回200μg 1日4回 食後および就寝前

・オメプラゾール(プロトンポンプ阻害薬)

1回20mg 1日1回

②服薬指導

空腹時には服用しない

(服用前に牛乳などを摂取する)

参考文献

ベーシック薬学教科書シリーズ19 薬物治療学平井みどり編 化学同人(2009)薬学セレクト 疾患と薬物治療

富野康日己編 医歯薬出版株式会社(2008)リウマチe-ネット http://www.riumachi.jpリウマチ情報センターhttp://www.rheumanet.or.jp日本リウマチ学会 http://www.ryumachi-jp.com治療薬マニュアル2010 医学書院(2010)

DAS28-ESRDAS28:disease activity score28肩関節×2、肘関節×2、手関節×2、手指×20、膝関節×2の28関節の膝痛と腫脹を観察しスコア化するもの。DAS28-ESR = 0.555×√(TJC)+0.284×√(SJC)+0.7×LN(ESR)+0.0142×(VAS)

TJC: tender joints count, SJC: swollen joints count, E: ESR(mm/hr), VAS: Visual analogue scale(患者によるGeneral Health:0-100mm)

参考資料

TNF阻害療法ガイドライン(2008) アメリカリウマチ学会

<予後不良因子>

身体機能障害(HAQ悪化)、関節外症状(リウマチ結節、シェーグレン症候群、血管炎、フェルティ症候群、リウマチ肺)、 リウマトイド因子、抗CCP抗体陽性、X線上の骨びらん