ディープボルツマンマシン入門

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ゼミで発表した資料のまとめ ディープラーニングの基本的な部分の説明です

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20140514 ディープボルツマンマシン入門

ーボルツマンマシンの確率モデルと

ボルツマンマシンの学習ー 長崎県立大学 国際情報学部 情報メディア学科

B2211017

片渕 小夜

目次

ボルツマンマシンの確率分布の定義

無向グラフの例(5ノード)

ボルツマンマシンの確率モデル

数式の意味ー確率モデル

数式の意味ーエネルギー関数

数式の意味 cf.白黒画像で考える

ボルツマンマシンの学習とは

可視変数・隠れ変数

可視変数・隠れ変数 cf.白黒画像で考える

次週

目次

ボルツマンマシンの確率分布の定義

無向グラフの例(5ノード)

ボルツマンマシンの確率モデル

数式の意味ー確率モデル

数式の意味ーエネルギー関数

数式の意味 cf.白黒画像で考える

ボルツマンマシンの学習とは

可視変数・隠れ変数

可視変数・隠れ変数 cf.白黒画像で考える

次週

ボルツマンマシンの確率分布の定義

いくつかのノードΩ={1,2,…,|Ω|}といくつかの無向リンクEからなる無向グラフG(Ω,E)があるとする

ノードiとノードjの間のリンクは(i,j)と表される.グラフG

は無向グラフであるので,(i,j)と(j,i)は同一のリンクを示す

なお,i番目のノードには確率変数𝑥𝑖 ∈ {+1,−1}を対応させる

※無向グラフ:

ノードとノードをつなぐリンクに

方向性がない

無向グラフの例

(5ノード)

3

4

5

1

2

青い丸がノード,線がリンクを示す

ノード中の数字はそのノードの番号

を表している

このとき,

Ω={1,2,3,4,5}

E=(1,2),(1,4),(1,5),(2,3),(2,4),(3,4),(3,5),(4,5) で,各ノードは確率変数𝑥𝑖 ∈ {+1,−1}を対応付けられている

目次

ボルツマンマシンの確率分布の定義

無向グラフの例(5ノード)

ボルツマンマシンの確率モデル

数式の意味ー確率モデル

数式の意味ーエネルギー関数

数式の意味 cf.白黒画像で考える

ボルツマンマシンの学習とは

可視変数・隠れ変数

可視変数・隠れ変数 cf.白黒画像で考える

次週

ボルツマンマシンの確率モデル

𝑃𝐵 𝑋 𝜃,𝜔 ≔1

𝑍𝐵 𝜃,𝜔exp(−Φ 𝑋 𝜃,𝜔 )

Φ 𝑋 𝜃,𝜔 ≔ − 𝜃𝑖𝑋𝑖𝑖∈Ω

− 𝜔𝑖𝑗𝑋𝑖𝑋𝑗(𝑖,𝑗)∈𝐸

バイアス項 相互作用項

𝑃(𝑋)はデータ生成の確率規則となる

データ生成モデル

𝑃 𝑋 𝜃 はパラメータθを持った学習モデル

ここで指数関数の引数に指定されているのはエネルギー関数であり,

数式の意味

ー確率モデル

𝑃𝐵 𝑋 𝜃,𝜔 ≔1

𝑍𝐵 𝜃,𝜔exp(−Φ 𝑋 𝜃,𝜔 )

指数関数の引数が,エネルギー関数の負となっている

→エネルギーが低いXのパターンが高確率で出現するようになっている

数式の意味

ーエネルギー関数

Φ 𝑋 𝜃,𝜔 ≔ − 𝜃𝑖𝑋𝑖𝑖∈Ω

− 𝜔𝑖𝑗𝑋𝑖𝑋𝑗(𝑖,𝑗)∈𝐸

𝜃𝑖 > 0のとき,𝑋𝑖 = +1のほうがエネルギーを低くする(確率が高くなる)

𝜃𝑖 < 0のとき,𝑋𝑖 = −1のほうがエネルギーを低くする(確率が高くなる)

→𝜽𝒊の正負によって𝑿𝒊の値の出現確率に偏りが出るので,𝜽はバイアスと呼ばれる

𝜔𝑖𝑗 > 0のとき,𝑋𝑖と𝑋𝑗は同じ値をとったほうがエネルギーが低くなる

𝜔𝑖𝑗 < 0のとき,𝑋𝑖と𝑋𝑗は異なる値をとったほうがエネルギーが低くなる

→ωはリンクで結ばれた変数同士の値の関連性(そろいやすさ・そろい難さ)を調整する

数式の意味

cf.白黒画像で考える

確率変数𝑋𝑖は白(+1)か黒(-1)をとり,これを各ピクセルに対応させる

白黒画像における

ボルツマンマシンのグラフ構造

最も近いピクセル同士は強く依存しあうであろうという仮定の元に,

リンクは最近説のピクセル間のみに存在するとする

バイアスパラメータ:ピクセルの色の偏り(白になりやすさ,黒になりやすさ)

重みパラメータ:隣同士のピクセルの色の揃いやすさ

:白(+1) :黒(-1)

バイアスパラメータ

𝜃𝑖 > 0

𝜃𝑖 < 0

重みパラメータ

𝜔𝑖𝑗 > 0

𝜔𝑖𝑗 < 0

白が出現しやすい

黒が出現しやすい

同じ色同士が出現しやすい

異なる色同士が出現しやすい

目次

ボルツマンマシンの確率分布の定義

無向グラフの例(5ノード)

ボルツマンマシンの確率モデル

数式の意味ー確率モデル

数式の意味ーエネルギー関数

数式の意味 cf.白黒画像で考える

ボルツマンマシンの学習とは

可視変数・隠れ変数

可視変数・隠れ変数 cf.白黒画像で考える

次週

ボルツマンマシンの学習とは

ボルツマンマシンの学習

実際に観測したデータの出現確率に沿うようにパラメータ{𝜃,𝜔}の値を調整する

観測データからのボルツマンマシンの学習方法とは

どんなものか?

目次

ボルツマンマシンの確率分布の定義

無向グラフの例(5ノード)

ボルツマンマシンの確率モデル

数式の意味ー確率モデル

数式の意味ーエネルギー関数

数式の意味 cf.白黒画像で考える

ボルツマンマシンの学習とは

可視変数・隠れ変数

可視変数・隠れ変数 cf.白黒画像で考える

次週

可視変数・隠れ変数

少し前に発表していた可視ユニット、非可視ユニットのこと

可視変数(visible variable)

データに対応している変数

非可視変数(hidden variable)

データに直接対応しない変数

可視変数・非可視変数

cf.白黒画像で考える

各確率変数は画像の各ピクセルに対応

観測データ点として、欠損のない完全な白黒画像が得られるとき、全ての確率変数に対応したデータが存在する

観測データ点として、カメラの劣化などの原因で画像の一部に欠損の生じた画像が得られるとき、欠損部に対応する確率変数は存在しない

データに対応する変数が可視変数であるので、可視変数のみのボルツマンマシン

対応する観測データが得られない変数を含むので、非可視変数を含むボルツマンマシン

目次

ボルツマンマシンの確率分布の定義

無向グラフの例(5ノード)

ボルツマンマシンの確率モデル

数式の意味ー確率モデル

数式の意味ーエネルギー関数

数式の意味 cf.白黒画像で考える

ボルツマンマシンの学習とは

可視変数・隠れ変数

可視変数・隠れ変数 cf.白黒画像で考える

次週

次週

可視変数のみのボルツマンマシン学習

最尤法とは

最尤法の別の視点「カルバック・ライブラー情報量」とは

20140528 ディープボルツマンマシン入門

ー可視変数のみのボルツマンマシン・最尤法ー 長崎県立大学 国際情報学部 情報メディア学科

B2211017

片渕 小夜

目次

可視変数のみのボルツマンマシンとは

cf.白黒画像で考える

最尤法とは

最尤法を用いた計算ー対数尤度関数

カルバック・ライブラー情報量とは

最尤法をKL情報量の観点で見る

ボルツマンマシンがなぜ有用でないとされてきたか

ボルツマンマシンが見直されてきた理由

目次

可視変数のみのボルツマンマシンとは

cf.白黒画像で考える

最尤法とは

最尤法を用いた計算ー対数尤度関数

カルバック・ライブラー情報量とは

最尤法をKL情報量の観点で見る

ボルツマンマシンがなぜ有用でないとされてきたか

ボルツマンマシンが見直されてきた理由

可視変数のみのボルツマンマシンとは

すべての変数が可視変数であるから,𝑋𝑖のかわりに𝑣𝑖を使用する

つまり

𝑃𝐵 𝑋 𝜃,𝜔 = 𝑃𝐵 𝑣 𝜃,𝜔

となる

n次元の観測データ点がそれぞれ統計的に独立に,同分布からN個手に入ったとき,

𝑥(𝜇) = {𝑥𝑖𝜇∈ {+1,−1}|𝑖 = 1,2,⋯ , 𝑛}

と表す

可視変数のみのボルツマンマシンとは

cf.白黒画像で考える

白黒画像を観測データ点とすると,画像1枚が各観測データ点

𝑥(𝜇)に対応する

−1,+1,+1, −1,⋯ ,−1,+1

+1,−1,+1, −1,⋯ ,+1,+1

+1,+1,−1,− ∓1,⋯ ,−1,−1

𝑛個

𝑥(1)

𝑥(2)

𝑥(𝑁)

各データ点中の𝑥𝑖(𝜇)に対してそれぞれ

1つの確率変数を対応させるとすると,

ボルツマンマシンは観測データ点と同じn次元の

確率変数𝑣 = 𝑣𝑖 𝑖 = 1,2,⋯ , 𝑛 を持つ確率モデルとなる

図:観測データセット𝒟 = {𝑥𝜇 |𝜇 = 1,2,⋯ , 𝑁}の例

目次

可視変数のみのボルツマンマシンとは

cf.白黒画像で考える

最尤法とは

最尤法を用いた計算ー対数尤度関数

カルバック・ライブラー情報量とは

最尤法をKL情報量の観点で見る

ボルツマンマシンがなぜ有用でないとされてきたか

ボルツマンマシンが見直されてきた理由

最尤法とは

観測データセット𝒟 = {𝑥𝜇 |𝜇 = 1,2,⋯ ,𝑁}に対して、以下の尤度関数を定

める

ℒ𝒟 𝜃,𝜔 ≔ 𝑃𝐵 𝑥𝜇 𝜃,𝜔

𝑁

𝜇=1

𝑃𝐵 𝑥𝜇 𝜃,𝜔 :ボルツマンマシンが観測データ点𝑥(𝜇)を生成する確率

各観測データ点は独立に発生しているので、これらの積を示す尤度関数は

観測データセット𝓓をボルツマンマシンが生成する確率となる

最尤法とは、

尤度関数を最大とするパラメータの値(最尤解)を求めること

得られた観測データセットを生成するために一番尤もらしい分布を求めること

最尤法を用いた計算

ー対数尤度関数

尤度関数の自然対数をとった対数尤度関数

ℒ𝒟 𝜃,𝜔 ≔ 𝑙𝑛ℒ𝒟 𝜃,𝜔 = 𝑙𝑛𝑃𝐵(𝑥𝜇 |𝜃, 𝜔)

𝑁

𝜇=1

を最大化するほうが便利な場合が多い

※対数関数は単純増加関数なので、最尤解は対数尤度関数を最大化するパラメータの値と一致する

最大点を求めるために、対数尤度関数を最大化するパラメータの勾配を計算する

𝜕ℒ𝒟(𝜃, 𝜔)

𝜕𝜃𝑖= 𝑥𝑖

(𝜇) − 𝑁𝔼𝐵[𝑣𝑖|𝜃, 𝜔]

𝑁

𝜇=1

𝜕ℒ𝒟(𝜃, 𝜔)

𝜕𝜔𝑖𝑗= 𝑥𝑖

(𝜇)𝑥𝑗(𝜇) − 𝑁𝔼𝐵[𝑣𝑖𝑣𝑗|𝜃, 𝜔]

𝑁

𝜇=1

ここで𝔼𝐵[⋯ |𝜃, 𝜔]はボルツマンマシンに関する期待値で、

𝔼𝐵 ⋯ 𝜃,𝜔 = (⋯)𝑃𝐵(𝑣|𝜃, 𝜔)

𝑣

確率変数𝑣すべての実現パターンに関する総和を実行することにより得られる

つまり、 𝜽の勾配と𝝎 の勾配がボルツマンマシンの期待値と一致するようなNを求めればよい

よって、以下の連立方程式が成り立つ

1

𝑁 𝑥𝑖

(𝜇)= 𝔼𝐵[𝑣𝑖|𝜃, 𝜔]

𝑁

𝜇=1

1

𝑁 𝑥𝑖

(𝜇)𝑥𝑗 𝜇 =

𝑁

𝜇=1

𝔼𝐵[𝑣𝑖|𝜃, 𝜔]

この方程式はボルツマンマシンの学習方程式と呼ばれ、最尤解はこの方程式の解となる

学習方程式は別名モーメントマッチング(moment matching)とも呼ばれ、多くの確立モデルの学習の中で現れる

目次

可視変数のみのボルツマンマシンとは

cf.白黒画像で考える

最尤法とは

最尤法を用いた計算ー対数尤度関数

カルバック・ライブラー情報量とは

最尤法をKL情報量の観点で見る

ボルツマンマシンがなぜ有用でないとされてきたか

ボルツマンマシンが見直されてきた理由

カルバック・ライブラー情報量とは

カルバック・ライブラー(Kullback-Leibler:KL)情報量

確率変数Xに対する2つの確率分布𝑃0 𝑋 と𝑃1(𝑋)の間の近さを考える重要な量として知られており、以下のように定義される

𝐷(𝑃0| 𝑃1 ≔ 𝑃0 𝑋 𝑙𝑛𝑃0(𝑋)

𝑃1(𝑋)𝑥

KL情報量𝐷(𝑃0| 𝑃1 は0以上であり、 𝑃0 𝑋 = 𝑃1 𝑋 のときのみ𝐷(𝑃0| 𝑃1 =0となる

KL情報量は2つの確率分布間の距離のようなものとして扱うことができる

最尤法をKL情報量の観点で見る

観測データセット𝒟に対する経験分布(観測データ点の頻度分布のこと)を定義

𝑄𝒟 𝑣 ≔1

𝑁 𝛿 𝑣, 𝑥𝑖

𝜇 , 𝛿 𝑥, 𝑦 = 1𝑥 = 𝑦0𝑥 ≠ 𝑦

𝑁

𝜇=1

𝑄𝒟(𝑣) ≥ 0を満たし、かつ規格化条件 𝑄𝒟(𝑣)𝑣 = 1を満たすので、確率分布である

この経験分布とボルツマンマシンの間のKL情報量は以下のとおりである

𝒟(𝑄𝒟| 𝑃𝐵 = 𝑄𝒟 𝑣 𝑙𝑛𝑄𝒟(𝑣)

𝑃𝐵(𝑣|𝜃, 𝜔)𝑣

このとき、𝒟(𝑄𝒟| 𝑃𝐵 が最小となるようなパラメータの値を求めると、微分したとき0となる条件から、最尤法と同様にボルツマンマシンの学習方程式が成り立つ

KL情報量の観点からみると、最尤法は観測データセットの経験分布と

ボルツマンマシンを最も近づける方法である。

目次

可視変数のみのボルツマンマシンとは

cf.白黒画像で考える

最尤法とは

最尤法を用いた計算ー対数尤度関数

カルバック・ライブラー情報量とは

最尤法をKL情報量の観点で見る

ボルツマンマシンがなぜ有用でないとされてきたか

ボルツマンマシンが見直されてきた理由

ボルツマンマシンがなぜ有用でないと

されてきたか

ボルツマンマシンの確率モデルの計算のミソはその期待値にある

期待値計算は確率変数の全実現可能パターンに関する和であるため、単純にn次元のボルツマンマシンにおける期待値計算は2𝑛個の多重和の計算となる

n time

10 約0.00001秒

30 約0.18分

50 約130日

70 約37万4000年

100 約4000億年

nの増加に伴い計算時間が爆発的に増加

→計算量爆発と呼ばれる

ボルツマンマシンが見直されてきた

理由

確率伝搬法(loopy belief propagation)

疑似最尤法(maximum pseudo-likehood estimation:MPLE)

複合最尤法(maximum composite likehood estimation)

スコアマッチング

コンストラクティブ・ダイバージェンス(CD)法

などの現実的な時間内で実行することが可能な近似学習法が開発された

この中でも、疑似最尤法は実装の簡便さと高い学習性能をもつことからよく利用されている

次週

隠れ変数を含むボルツマンマシン学習

20140611 ディープボルツマンマシン入門 ー非可視変数ありのボルツマンマシン

長崎県立大学 国際情報学部 情報メディア学科

B2211017

片渕 小夜

目次

非可視変数を含むボルツマンマシン

非可視変数を含むボルツマンマシンの確率モデル

KL情報量最小化の観点

非可視変数がある場合のボルツマンマシンの学習方程式

非可視変数の意味とは

学習モデルの表現能力とモデル誤差

学習モデルを複雑化する方法

次週

目次

非可視変数を含むボルツマンマシン

非可視変数を含むボルツマンマシンの確率モデル

KL情報量最小化の観点

非可視変数がある場合のボルツマンマシンの学習方程式

非可視変数の意味とは

学習モデルの表現能力とモデル誤差

学習モデルを複雑化する方法

次週

非可視変数を含むボルツマンマシン

1

3 2

4 5

(n+m)次元の変数のうち、ノード番号(確率変数の添え字)

の若い順に並べ、最初のn次元を各観測データに対応させる(可視変数)

残りのm次元の変数は観測データとは関係のない変数(非可視変数)とする

ここで、

観測データ点に対応するノード番号の集合を𝑉 = 1,⋯ , 𝑛 とし、

対応しないノード番号の集合を𝐻 = 𝑛 + 1,⋯ , 𝑛 + 𝑚 とする

ノード全体の集合はΩ = 𝑉 + 𝐻で表すことができる。

3次元の観測データセットに対し、5次元のボルツマンマシンを用いて

学習するとき、

𝑉 = 1,2,3

𝐻 = 4,5

𝑋 = 𝑋1, 𝑋2, 𝑋3, 𝑋4, 𝑋5 = {𝑣1, 𝑣2, 𝑣3, ℎ4, ℎ5} であり、ノード1~3は可視変数、ノード4,5は非可視変数として扱われる 3次元の観測データセットを

5次元のボルツマンマシンを使って学習する例

非可視変数を含むボルツマンマシンの

確率モデル

非可視変数を含む場合でも、基本的に最尤法に基づいた学習を行うことに変わりはない

隠れ変数がある場合は、隠れ変数に関して周辺化した可視変数vのみのn次元の確率分布

𝑃𝑉 𝑋 𝜃,𝜔 ≔ 𝑃𝐵 𝑣, ℎ 𝜃, 𝜔

を用いることとなる。

可視変数のみの確率分布であるから前週紹介した方法で尤度関数を作ることができ、

ℒ𝒟𝐻 𝜃, 𝜔 ≔ 𝑙𝑛𝑃𝑉(𝑥

𝜇 |𝜃, 𝜔)

𝑁

𝜇=1

で表すことができる。最尤解は、この対数尤度関数を最大化するパラメータである。

KL情報量最小化の観点

KL情報量:観測データセットの経験分布とボルツマンマシンを最も近づける方法

以下のKL情報量を最小化することで学習は達成される

𝐷(𝑄𝒟| 𝑃𝑉 = 𝑄𝒟 𝑣 𝑙𝑛𝑄𝒟(𝑣)

𝑃𝑣(𝑣|𝜃, 𝜔)𝑣

※𝑄𝒟 𝑣 は観測データセットの経験分布

非可視変数がある場合のボルツマンマシンの学習方程式

対数尤度関数最大化の条件、KL情報量最小化の条件より、

𝑧𝑖𝑃𝐻|𝑉 ℎ 𝑣, 𝜃, 𝜔 𝑄𝒟 𝑣 = 𝔼𝐵[𝑧𝑖|𝜃, 𝜔]

𝑣,ℎ

𝑧𝑖𝑧𝑗𝑃𝐻|𝑉 ℎ 𝑣, 𝜃, 𝜔 𝑄𝒟 𝑣 = 𝔼𝐵[𝑧𝑖𝑧𝑗|𝜃, 𝜔]

𝑣,ℎ

ここで𝑧𝑖は、

𝑧𝑖 =𝑣𝑖𝑖 ∈ 𝑉 ∈ Ωℎ𝑖 𝑖 ∈ 𝐻 ∈ Ω

のように、ノードiが可視変数ノードか非可視変数ノードかに応じて変換される変数である。

また、𝑃𝐻|𝑉 ℎ 𝑣, 𝜃, 𝜔 は可視変数が与えられたもとでの非可視変数の確率で、

ベイズの公式より

𝑃𝐻|𝑉 ℎ 𝑣, 𝜃, 𝜔 =𝑃𝐵(𝑣, ℎ|𝜃, 𝜔)

𝑃𝑉(𝑣|𝜃, 𝜔)

によって与えられる。

𝔼𝐵 ⋯ 𝜃,𝜔 はこれまでと同様にボルツマンマシンの期待値であり、ボルツマンマシンが取り得るすべての確率変数の出現パターンの総和である。非可視変数を含

む場合は𝔼𝐵 ⋯ 𝜃,𝜔 = (⋯ )𝑃𝐵(𝑣, ℎ|𝜃, 𝜔)𝑣,ℎ である。

※ベイズの公式(定理) 事象Bのベイズ確率について、

𝑃 𝐵 𝐴 =𝑃 𝐴 𝐵 𝑃(𝐵)

𝑃(𝐴)

P(A):事象Aが起こる確率 P(B):事象Aが起きる前の事象Bが起こる確率(事前確率) P(B|A):事象Aが起きた後に事象Bが起こる確率(事後確率) P(A|B):尤度(事象Aが起きた後に事象Bが起こる尤もらしさ)

目次

非可視変数を含むボルツマンマシン

非可視変数を含むボルツマンマシンの確率モデル

KL情報量最小化の観点

非可視変数がある場合のボルツマンマシンの学習方程式

非可視変数の意味とは

学習モデルの表現能力とモデル誤差

学習モデルを複雑化する方法

次週

非可視変数の意味とは

「何らかの原因で一部のデータが得られない場合に,得られないデータに対応した変数を非可視変数として扱う」

学習の表現能力を向上させる

表現能力:パラメータの値を変化させることで再現することのできる確率分布の種類の多さ

目次

非可視変数を含むボルツマンマシン

非可視変数を含むボルツマンマシンの確率モデル

KL情報量最小化の観点

非可視変数がある場合のボルツマンマシンの学習方程式

非可視変数の意味とは

学習モデルの表現能力とモデル誤差

学習モデルを複雑化する方法

次週

学習モデルの表現能力とモデル誤差

モデル誤差

学習モデルを人間が勝手に仮定したことにより生まれる本質的な誤差.仮定したモデルが求めたい未知の生成モデルを含んでいるとは限らない

学習モデルの表現能力が低いと,生成モデルとの間には誤差が生まれる

𝑃(𝑋|Θ) 学習モデル

𝑃𝑔(𝑋) 生成モデル

最尤解 表現能力を上げるということは,

この円の半径を大きくすること

学習モデルを複雑化しなければ

ならない

目次

非可視変数を含むボルツマンマシン

非可視変数を含むボルツマンマシンの確率モデル

KL情報量最小化の観点

非可視変数がある場合のボルツマンマシンの学習方程式

非可視変数の意味とは

学習モデルの表現能力とモデル誤差

学習モデルを複雑化する方法

次週

学習モデルを複雑化する方法

1. エネルギー関数に3次以上の相互作用の項を加えた高次ボルツマンマシン

→これまで紹介してきたのは2次のボルツマンマシン(ノードの持つ値とリンクの重み)

→むずかしい

2. 非可視変数の導入

→エネルギー関数の形を変えることなくモデルを複雑化することができる

目次

非可視変数を含むボルツマンマシン

非可視変数を含むボルツマンマシンの確率モデル

KL情報量最小化の観点

非可視変数がある場合のボルツマンマシンの学習方程式

非可視変数の意味とは

学習モデルの表現能力とモデル誤差

学習モデルを複雑化する方法

次週

次週

リストリクティッドボルツマンマシン

RBMの学習方程式

ディープボルツマンマシン(DBM)

論文まとめ

20140618 ディープボルツマンマシン入門

ーRBMとその学習 長崎県立大学 国際情報学部 情報メディア学科

B2211017

片渕 小夜

目次

リストリクティッドボルツマンマシン(RBM)とは

RBMの学習方程式

RBMの性質

(1)条件付き独立の性質

(2)RBMの周辺確率

リストリクティッドボルツマンマシン(RBM)とは

リストリクティッドボルツマンマシン(Restricted Bolzmann Machine:RBM)

完全2部グラフ上に定義された非可視変数なしのボルツマンマシン

・・・

・・・

m個

n個

𝒉

𝒗

同層内のリンク結合は無し、異層間にのみリンク結合が存在

可視変数はn個、非可視変数はm個

それぞれ

𝑉 = {1,⋯ , 𝑛} 𝐻 = {𝑛 + 1,⋯ , 𝑛 + 𝑚}

RBMのエネルギー関数と確率モデル

可視変数を𝑣,非可視変数をℎとすると、

Φ 𝑋 𝜃, 𝜔 = Φ(𝑣, ℎ|𝜃𝑣, 𝜃ℎ, 𝜔)

= − 𝜃𝑖 𝑣𝑣𝑖 − 𝜃𝑗

ℎℎ𝑗 − 𝜔𝑖𝑗𝑣𝑖ℎ𝑗𝑗∈𝐻𝑖∈𝑉𝑗∈𝐻𝑖∈𝑉

𝜃𝑣:可視変数に対するバイアス 𝜃ℎ:非可視変数に対するバイアス

上の式から、RBMの確率モデルは

𝑃𝐵 𝑣, ℎ 𝜃𝑣, 𝜃ℎ, 𝜔

∝ exp(− 𝜃𝑖 𝑣𝑣𝑖 − 𝜃𝑗

ℎℎ𝑗 − 𝜔𝑖𝑗𝑣𝑖ℎ𝑗𝑗∈𝐻𝑖∈𝑉𝑗∈𝐻𝑖∈𝑉

)

で表現することができる

以下、表記の簡単化の為にパラメータをΘで表す

Θ = {𝜃𝑣, 𝜃ℎ, 𝜔}

RBMの学習方程式

RBMは非可視変数を含むボルツマンマシンのひとつ

N個のn次元観測データセット𝒟を得たとすると、それぞれ可視変数,非可視変数のバイアス項について,以下の学習方程式が成り立つ.

1

𝑁 𝑥𝑖(𝜇)= 𝔼𝐵 𝑣𝑖 Θ (𝑖 ∈ 𝑉)

𝑁

𝜇=1

1

𝑁 tanh 𝜃𝑖

ℎ + 𝜔𝑗𝑖𝑥𝑗𝜇

𝑗∈𝑉

= 𝔼𝐵[ℎ𝑖|Θ]

𝑁

𝜇=1

(𝑖 ∈ 𝐻)

この2つの式を組み合わせて、左辺にかかるバイアスを最小化し、ボルツマンマシンの期待値と合わせてやればよい。

1

𝑁 𝑥(𝜇)tanh(𝜃𝑗

ℎ + 𝜔𝑗𝑖𝑥𝑗(𝜇)) = 𝔼𝐵[ℎ𝑖|Θ]

𝑗∈𝑉

𝑁

𝜇=1

(𝑖 ∈ 𝐻)

左辺は観測データセットの値から簡単に計算可能

右辺はRBMの期待値計算となるため,計算量爆発の可能性がある

何らかの近似的アプローチが必要となる

RBMの性質

RBMは2部グラフという特別なグラフ構造を持ち,通常のボルツマンマシンにはないいくつかの有用な性質を持つ

1. 条件付き独立の性質

2. RBMの周辺確率

RBMの性質

(1)条件付き独立の性質

可視変数が固定された場合の非可視変数の条件付き確率は,

𝑃𝐻|𝑉 ℎ 𝑣, Θ =𝑃𝐵(𝑣, ℎ|Θ)

𝑃𝑉(𝑣|Θ)=

exp(𝜆𝑗𝐻ℎ𝑗)

2cosh(𝜆𝑗𝐻ℎ𝑗)𝑗∈𝐻

𝜆𝑗𝐻 ≔ 𝜃𝑗

ℎ + 𝜔𝑖𝑗𝑣𝑖𝑖∈𝑉

で,同様に非可視変数が固定された場合の可視変数の条件付き確率は,

𝑃𝐻|𝑉 𝑣 ℎ, Θ = exp(𝜆𝑖

𝑉𝑣𝑖)

2cosh(𝜆𝑖𝑉𝑣𝑖)𝑖∈𝑉

𝜆𝑖𝑉 ≔ 𝜃𝑖

𝑣 + 𝜔𝑖𝑗ℎ𝑗𝑗∈𝐻

となる

条件付き確率は確率変数同士の積である

片方の層の確率変数が何らかの値に固定されると,もう片方の確率変数は互いに

独立となる

RBMの性質

(2)RBMの周辺確率

可視変数に関する周辺確率𝑃𝑉(𝑣|Θ)を簡単に計算できる

𝑃𝑉(𝑣|Θ) ∝ exp(−Φ𝑉 𝑣 Θ )

Φ𝑉 𝑣 Θ = − 𝜃𝑖𝑣𝑣𝑖 − 𝑙𝑛2𝑐𝑜𝑠ℎ𝜆𝑗

𝐻

𝑗∈𝐻𝑖∈𝑉

周辺確率𝑃𝑉(𝑣|Θ)を具体的に記述することができる

→疑似最尤法などの隠れ変数のない場合に対して考案されている近似学習法をRBMの学習にも適用することが可能となっている

疑似最尤法を拡張した複合最尤法を利用した学習アルゴリズムも

提案されている

エネルギー関数Φ𝑉 𝑣 Θ を𝜔についてテイラー展開してみると、

Φ𝑉 𝑣 Θ = 𝑐 − 𝜃𝑖𝑣𝑣𝑖 − 𝑡𝑎𝑛ℎ𝜃𝑗

ℎ 𝜔𝑖𝑗𝑣𝑖𝑖∈𝑉𝑗∈𝐻𝑖∈𝑉

    −1

2 𝑠𝑒𝑐ℎ2𝜃𝑗

ℎ 𝜔𝑖𝑗𝜔𝑘𝑗𝑣𝑖𝑣𝑘𝑖,𝑘∈𝑉𝑗∈𝐻

         −1

3 𝑠𝑒𝑐ℎ2𝜃𝑗

ℎ𝑡𝑎𝑛ℎ𝜃𝑗ℎ 𝜔𝑖𝑗𝜔𝑘𝑗𝜔𝑙𝑗𝑣𝑘𝑣𝑙𝑖,𝑘,𝑙∈𝑉𝑗∈𝐻

+𝑂(𝜔4)

二次相互作用項

バイアス項

三次相互作用項

二次以上の相互作用項がエネルギー関数内に存在

している

エネルギー関数を変更することなくモデルを複雑化することができる!

・・・

・・・

「RBMには同層内の結合がない」

ということは…

• 可視層の値は同じ可視層に所属する変数に左右されない • 非可視層の値は同じ非可視層に所属する変数に左右され

ない

𝒉

𝒗

同層内の結合があると…

「同層内に結合関係がある」

ということは… • 可視層、非可視層に所属している変数が互いに依存しあう関係

• 結合関係にある変数のとる値に左右される

→マルコフ連鎖モンテカルロ法

20140618 ディープボルツマンマシン入門

ーDBMの学習とまとめ 長崎県立大学 国際情報学部 情報メディア学科

B2211017

片渕 小夜

目次

ディープボルツマン(DBM)とは

DBMのエネルギー関数

DBMの基本的な学習法ー貪欲学習

DBMの学習において大切なこと

まとめ

目次

ディープボルツマン(DBM)とは

DBMのエネルギー関数

DBMの基本的な学習法ー貪欲学習

DBMの学習において大切なこと

まとめ

ディープボルツマンマシン(DBM)とは

非可視層を階層的に積み上げていくことで構成される非可視ノードありのボルツマンマシン

𝑊(3)

ℎ(1)

ℎ(2)

ℎ(3)

𝑊(1)

𝑊(2)

𝑣

DBMのエネルギー関数

𝑉:可視層のノードの番号の集合

𝐻𝑟:第𝑟番目の隠れ層のノードの集合

𝑣 = 𝑣𝑖 ∈ +1,−1 𝑖 ∈ 𝑉 :可視変数

ℎ = {ℎ𝑖𝑟∈ {+1,−1}|𝑖 ∈ 𝐻𝑟}:第𝑟番目の非可視層内に存在する非可視変数

R層の隠れ層からなるエネルギー関数は,

Φ 𝑣, ℎ 𝑊 = − 𝜔𝑖𝑗1

𝑗∈𝐻1𝑖∈𝑉

𝑣𝑖ℎ𝑗1− 𝜔𝑖𝑗

(𝑟)ℎ𝑖(𝑟−1)ℎ𝑗(𝑟)

𝑗∈𝐻𝑟𝑖∈𝐻𝑟−1

𝑅

𝑟=2

ℎ(1)⋯ℎ 𝑅 をまとめてℎ,𝜔(1)⋯𝜔(𝑅)をまとめて𝑊で表している

DBMの基本的な学習法ー貪欲学習

貪欲学習(greedy learning)

近似アルゴリズムの最も基本的な考え方のひとつ

問題の要素を複数の部分に分割し,それぞれの部分を独立に評価を行い、評価値の高い順に取り組んでいく学習法

DBMの学習では、階層的に積み重なったボルツマンマシンの層を分割して

学習を行っていく

1)可視層と第1層の非可視層に注目し、第2層以上の非可視層は無視する

→可視層と第1層の非可視層は、𝑣とℎ(1)からなるRBMとみなすことができる

後は、RBMの学習法に則って学習を進めていく

ℎ(1)

ℎ(2)

ℎ(3)

𝑣

RBM1 𝑊(1)

結合𝑾(𝟏)が学習される

2)ℎ(1)とℎ(2)に注目し、その他の非可視層は無視する

この時、ℎ(1)を疑似的な可視層としてℎ(2)を非可視層として学習をする

このRBMの学習には、条件付き確率𝑃𝐻|𝑉 ℎ1 𝑣, 𝜔 1

を利用して、観測データセットからサンプリングしたサンプル点をデータとして利用する(特徴点とも呼ばれる)

ℎ(1)

ℎ(2)

ℎ(3)

𝑣

RBM2 𝑊(2)

結合𝑾(𝟐)が学習される

3)同様な方法でℎ(2)とℎ(3)に注目し、その他の非可視層は無視する

この時、ℎ(2)を疑似的な可視層としてℎ(3)を非可視層として学習をする

ℎ(1)

ℎ(2)

ℎ(3)

𝑣

RBM3 𝑊(3)

結合𝑾(𝟑)が学習される

このとき、ℎ(1)の特徴点をサンプルしたときと同様に、ℎ(2)の特徴点を条件付き確率を用いてℎ(1)の特徴点からサンプルする

特徴点をサンプルするための数式は以下のようになる

𝑃𝐻𝑟|𝐻𝑟−1 ℎ𝑟 ℎ 𝑟−1 , 𝜔 𝑟 =

exp(𝜆𝑗𝐻𝑟−1ℎ𝑗

𝑟)

𝑒𝑐𝑜𝑠ℎ(𝜆𝑗𝐻𝑟−1ℎ𝑗

𝑟)𝑗∈𝐻𝑟

𝜆𝑗𝐻𝑟−1 = 𝜔𝑗𝑘

(𝑟)ℎ𝑗(𝑟−1)

𝑘∈𝐻𝑟−1

このサンプル点をデータとして,𝑊(3)を学習する

目次

ディープボルツマン(DBM)とは

DBMのエネルギー関数

DBMの基本的な学習法ー貪欲学習

DBMの学習において大切なこと

まとめ

DBMの学習において大切なこと

貪欲学習などによる事前学習

パラメータの適切な初期値設定に用いる学習.

その後DBM全体に対するMCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ法)などでパラメータを細かく調整

事前学習で決定したパラメータの初期値が学習のキーとなる

まとめ

DBMに適した近似的アルゴリズムを創出していかなければならない

DBMは層ごとにRBMとみなしながら学習を進めていく→

対数尤度関数を目指すものではないので学習がどのようになっているかわからない

しかし計算量の問題から厳密な計算を行うことはできない

DBMの構造に関して理解を深めねばならない

DBMのミソはその層構造にある→

単に非可視変数の数を増やし,モデルの表現能力を上げるのならばRBMで十分

参考文献

安田 宗樹(2013)「ディープボルツマンマシン入門ーボルツマンマシン学習の基礎ー」『人工知能学会誌』28巻3号(2013年5月号) 474pp