日本のゲーム研究の集積所 (GameCommunitySummit2014)

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ゲームコミュニティサミット2014 (GCS2014) https://sites.google.com/site/gamecs2014/ にて。 ・近年の研究発表の中から、分野を問わず面白い、関心が高いと思われる研究について紹介 ・ゲームデザイン、ゲーム教育、ゲームメディア、オンラインゲームといった研究専門部会(SIG)についての報告

Transcript of 日本のゲーム研究の集積所 (GameCommunitySummit2014)

日本のゲーム研究の集積所

日本デジタルゲーム学会

DiGRA JAPAN 紹介と

最近面白かった発表から

1

日本デジタルゲーム学会概要

まずはどんなものなの?

2

DiGRA JAPANとは?

DiGRA(Digital Game Research Association)は、非営利のゲーム研究に関する国際学会です。

日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN)は、日

本国内におけるデジタルゲーム研究の発展、普及啓蒙を目指して2006年に設立されました。

2007年に国際学術会議DiGRA2007を主催し、以

降日本におけるゲーム研究の拠点となるべく活動しています。

2011年に日本学術会議より「日本学術会議協力

学術研究団体」の指定を受け、ゲームに関する学術研究発表の場として発展していきます。

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DiGRA JAPANの活動・研究発表大会

2010年次大会・芝浦工業大学 「デジタルゲームの過去・現在・未来」

2011年次大会・立命館大学 「デジタルゲーム研究の地平:ゲームある日常のこれまでとこれから」

2012夏季大会・東京工業大学 2012年次大会・九州大学 「デジタルゲーム研究の発展-アジアを背景としたコンテンツ創成・地域の魅力の発信-」

2013夏季大会・東京工芸大学 2013年次大会・はこだて未来大学 「ゲーム?考える」

2014夏季大会・東京工科大学にて

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DiGRA JAPANの活動・学会誌発行

「デジタルゲーム学研究」

年2回発行

投稿論文

依頼論文

特集

ゲーム史探訪

産業界からの声

参加記

書評

ゲームを語る

5

DiGRA JAPANの活動

研究会

地域研究会

研究部会(SIG)

6

DiGRA JAPAN 公式サイト

日本デジタルゲーム学会公式サイト

http://digrajapan.org/

日本デジタルゲーム学会 USTREAM

「DIGRA JAPAN CHANNEL」

7

DiGRA JAPAN 入会案内

正会員:個人会員

入会金:無料

年会費(4月~翌3月):10,000円

学生会員:大学・大学院または専門学校などの在学生

入会金:無料

年会費(4月~翌3月):5,000円

会員特典

会誌贈呈

ニュースレター

有料イベントへの招待・優待

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研究発表大会抜粋

じゃあどんな発表があるの?おもしろい?

実際の活動からダイジェストでお送りします

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ゲーム開発者のキャリア研究の 国際動向と今後の課題

2011年次大会

藤原正仁氏の発表より

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ゲーム開発者のキャリア研究の国際動向と今後の課題

問題背景

ゲーム産業が急速に発展してきた中で、様々な創造的人材が必要とされるようになってきた。

研究目的

ゲーム開発者のキャリア研究の展開について、その動向を把握し、当該領域における今後の研究の在り方について検討する。

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ゲーム開発者のキャリア研究の国際動向と今後の課題

分析手法

既存研究のサーベイ(Bonds et al., 2004; Adam, 2005; Deuze et al., 2007; Wimmer & Sitnikova, 2011; Prescott & Bogg, 2011)

結果(今後の課題)

時間軸、学習資源、国際比較といった観点を踏まえた研究を行うことが今後の課題である。

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ゲーム開発者のキャリア研究の 国際動向と今後の課題

2011年次大会 藤原正仁氏

(専修大学ネットワーク情報学部) 発表より

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ゲーム開発者のキャリア研究の国際動向と今後の課題

問題背景

ゲーム産業が急速に発展してきた中で、様々な創造的人材が必要とされるようになってきた。

研究目的

ゲーム開発者のキャリア研究の展開について、その動向を把握し、当該領域における今後の研究の在り方について検討する。

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ゲーム開発者のキャリア研究の国際動向と今後の課題

分析手法

既存研究のサーベイ(Bonds et al., 2004; Adam, 2005; Deuze et al., 2007; Wimmer & Sitnikova, 2011; Prescott & Bogg, 2011)

結果(今後の課題)

時間軸、学習資源、国際比較といった観点を踏まえた研究を行うことが今後の課題である。

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ゲームリテラシ教育の研究と提唱 ‐ゲームとの正しい付き合い方‐

2013年夏季研究発表大会 青木京美氏他

(東京工芸大学芸術学部ゲーム学科) 発表より

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ゲームリテラシ教育の研究と提唱‐ゲームとの正しい付き合い方‐

問題背景

ゲームに関する認識が不十分であるという現実が存在する。

研究目的

子供自体のゲームリテラシーの認識はどの程度であるか明らかにする。

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ゲームリテラシ教育の研究と提唱‐ゲームとの正しい付き合い方‐

分析手法

小学校5/6年生を対象としたアンケート調査

記述統計

主要結果

CEROのレーティングは過半数の児童が認識しているが、レーティングを守っているわけではない。

3分の2の児童がゲームを通して知識を得たと回答している。

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消費者行動アプローチによる ゲーミフィケーションの考察

2013年年次大会 濱田俊也氏

(京都大学大学院博士課程) 発表より

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消費者行動アプローチによるゲーミフィケーションの考察

問題背景

ゲーム以外の分野においてもゲームのメカニズムと要素を用いるゲームフィケーションと呼ばれる手法が注目されている。

研究目的

ゲームフィケーション活用サービス利用時のユーザー心理のうち、特にフロー体験に注目し、調査と分析を行う。

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消費者行動アプローチによるゲーミフィケーションの考察

分析手法 インターネットを通じたアンケート調査

共分散構造分析

結果 ユーザーの夢中や集中、没入には、アクティビティと、ゲームのメカニズムと要素による影響が共に及んでいる。

アクティビティが異なる場合、アクティビティと、ゲームのメカニズムと要素との間の親和性がより高ければ、夢中や集中、没入に対してアクティビティが及ぼす影響とゲームのメカニズムと要素が及ぼす影響の差は小さくなる。

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ソーシャルゲームの行動経済学的解釈

2012年夏季大会

小山友介氏の発表より

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ゲームの商品特性

単純な価格競争では、同じ商品であれば、安い物が売れる ゲームの場合、「タダでもいらない」商品が存在する

「人気タイトルの続編」や「好きなゲーム会社の作品」など、少々高くても買ってもらえる、経済学的に言えば「市場支配力」を持っているタイトルもある

売上を増やす有効な手段 新規ユーザーを増やす

客単価を上げる

宣伝広告費の減少から新規ユーザーを増やすのは難しく、客単価を上げるのが最も効果的な方法となる

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ゲームの需要関数

あるゲームタイトルがどのくらいの需要を持っているかは、次のようなモデル図で表すことができる

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パッケージ販売の売上

ある価格でゲームを販売した場合、その金額なら買うという人数だけゲームは売れる

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パッケージの価格差別戦略

「初回限定版」などのプレミアムパッケージによる、高い購買意欲層での売り上げアップ

通常版の売上鎮静化後の「廉価版」による遺失売上の獲得 中古市場へ流れる機会損失も防ぐ

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オンラインコンテンツによる戦略

追加コンテンツのオンライン販売により、購入意欲の高い層へ訴求

価格差のある複数の追加コンテンツが効果的

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アイテム課金販売の戦略

Free to playにより最大人数を獲得する

細かなアイテム販売により、人数の総数に課金転換率を掛けた数のユーザーから、最大に近い売上が得られる

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人工知能は人狼の夢を見るか?

2013年次大会

鳥海不二夫氏らの発表より

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人狼知能プロジェクト

人工知能による人狼のプレイを目指す

人狼ゲームは話し合いのみにより勝敗が決定する,人間の持つ極めて高度な認知能力を駆使して行うコミュニケーションゲームである.

将棋や囲碁といった完全情報ゲームとは異なり多くの情報がプレイヤーによって隠蔽される.

各プレイヤーは会話と行動から隠された情報を推測しつつ,自らの秘密は隠蔽したままチームの勝利に向けて発言,行動していく.

人狼ゲームには,プレイヤーが持つ情報の非対称性,信頼を得る説得・協調行動,嘘を見抜く推論など従来の人工知能分野では扱っていなかった多数の解決すべき問題が存在する.

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人狼のオンラインプレイ

人狼は最近盛んにプレイされるようになり、派生ゲームやアレンジも数多く存在する

プレイスタイルは実際に集まってプレイする以外に、BBSなどを利用したオンラインのプレイも可能である

日本におけるBBSタイプの人狼の内,最も盛

んにプレイが行われているサービスの一つが「人狼BBS」である.人狼BBSではこれまでに数

千回以上のゲームが行われており,ログデータを用いた研究も行われている

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人狼プロトコル

人狼プロトコルは,人狼エージェント同士がコミュニケーションを行うために規定されるプロトコルである.

先行研究では人狼における発話一つ一つにタグ付けする形で 意味を決定している.しかし,人狼で行われている会話を正確に記述するためには,その文法構造まで考慮する必要がある.

本研究では,これらのタグを元にして,人狼の会話用に必要なプロトコル「人狼言語」の文法構造と,必要な言語会話を定義する.

将来的な人工知能での自動化を視野に入れ,これらの構造は自然言語の記述力を保ちつつ,極力簡潔な形式のものを選択する.

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プロトコルによる発話

自然言語 プロトコル表現

私は占い師です declare 100% (I seer)

占いの結果、Agent02は人間だった

declare 100% ((I inspect A02) and (A02 HUMAN))

発話No.5の発話に同意します agree 100% (speech 5)

3日にめ霊媒師はCOすべきだ request ANY 100% (if (become day_3) then (medium comingout))

Agent03は人間らしくないためここで処刑したい

(request ANY 90% (execute Agent03)) because (declare 20% (Agent03 HUMANSIDE))

占い師が2人いる、どちらが真か考えるべき

Request ANY 90% (discuss (who seer))

Agent01が昨日と一昨日、誰になぜ投票したのか知りたい

Request 100% (Agent01 declare 100% (Agent01 vote who (yesterday and day_3) why))

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人狼サーバ

ゲームの流れと会話の流れ

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人狼エージェントによる最適戦略の抽出

対話の中でも特に重要であると考えられる,役職のカミングアウト,占いの結果,霊媒の結果の3つのみを発話として行う

作成したエージェントは,強化学習に最適な発話及び投票,襲撃などの行動を学習していく.学習内容は以下の通りである. 投票,占い等の対象選択方法 人狼側が騙る役職 疑い度合い

学習の結果,最適な戦略が得られたかどうか確認をするため,学習を行ったエージェント同士に人狼サーバ上で人狼をプレイさせるシミュレーションを行った.

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最適戦略

人間側の最適戦略は,占い師は基本的に非CO者の中で疑わしい人を占い,狩人は複数COしている役職の人の中で疑わしくない者を守ることであった.

人狼側の最適戦略は,何の役職も騙らない場合は非CO者を襲撃していくことで,占い師を騙る場合は他の占い師が既に占った人を人狼だと占うことであった.

生き残り人数が5人または7人の時の人狼陣営が取るべき襲撃における最適戦略は「誰も襲わない」という一見人狼側に不利な戦略であった.これはゲームの終盤でプレイヤーの人数を奇数から偶数に調整する戦略であり,実際に上級者によるゲームにおいて人狼側の勝率を上げるために用いられる手法である.

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ゲームオーディオは「ゲームプレイ」に どのような影響を与えうるか

2013年次大会 尾鼻 崇氏らの発表より

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ゲームオーディオは「ゲームプレイ」にどのような影響を与えうるか

問題背景 映画やアニメのBGMと異なり、ゲームオー

ディオはプレイヤーの操作をトリガーとして発音される音の集合体である

研究目的

ゲームオーディオの構造を体系化し、他分野に応用できる知見を得る

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ゲームオーディオは「ゲームプレイ」にどのような影響を与えうるか

実験方法 「コントローラー操作情報収録装置」を用い、サウンドのon/offによるプレイヤーの操作の違いを比較検討する

結果 オーディオのoff時にはミスコントロールが頻出、各ボタン入力のリズムもon時と異なる

on時に比べてoff時は操作回数が多く、操作確認音のあるなしは大きく影響している

BGMのリズムに影響を受けながら操作を行っている可能性が高い

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なるほど DiGRA JAPAN って 学会なのに面白そうだ!と思った方は

8月24日(日)に 2014年夏季研究発表大会が開催されます

ここから参加してみませんか?

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夏季研究発表大会のご案内

気軽にどうぞ!

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お勧めポイント 1

首都圏開催 年次大会はゲーム研究を日本全国で盛り上げるために地方開催になることが多いが、夏季大会は毎年首都圏開催なので気軽に参加できる! 八王子は遠い!とか言わないで(新宿から中央線特別快速で37分、八王子駅から無料スクールバスで10分と約1時間)

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お勧めポイント 2

1日だけ 1Day なので聴講しやすく、参加者・発表者ともに時間的に分散しないので交流しやすい!

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お勧めポイント 3

今年が3回目 今からでも十分ゲーム研究史の当事者に!

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お勧めポイント 4

デジタルゲームらしくICTを活用 予稿集の電子化など、新しい研究発表の方法にトライしているので、発表者は広く内容を公開することができ、参加者は事前に情報を収集することも、後で引用することも容易。

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2014年夏季研究発表大会概要

開催日:2014年8月24日(日)

開催場所:東京工科大学 八王子キャンパス

片柳研究所棟4階 JR八王子駅(中央線・横浜線・八高線)より無料スクールバス約10分

JR横浜線・八王子みなみ野駅より無料スクールバス約5分 (八王子みなみ野駅からキャンパスまで徒歩12分の距離ですが、連続した登り坂でおすすめしません)

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2014年夏季研究発表大会概要

参加の事前申し込みは、専用サイトから (後日登録フォームを設定します)

詳細は順次告知します。下記URLをご参照ください。 日本デジタルゲーム学会 ウェブサイト

http://digrajapan.org/

そして…

参加して聴講するだけではありません

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SIGのご紹介 専門分野で濃いコミュニケーションを

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ゲームメディアSIG

活動目的

ゲーム雑誌などの既存メディアのみならず、インターネットの発達とともにメディアの多様化が見られるなか、ゲームメディアを巡る過去の知見や将来について、アカデミックな立ち位置で議論・研究を行います。

対象参加者

ゲームが好きな方、マスコミ&メディア関係者、ゲーム開発者、ゲーム会社の宣伝広報の方々、ゲーム&メディア関連の研究者の方々など

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ゲームメディアSIG

問い合わせ先・活動内容紹介

参考URL: http://digrajapan.org/?page_id=1482 https://www.facebook.com/digrajapan.gamemedia

コアメンバー

代表 鴫原盛之

運営スタッフ 小野憲史

運営スタッフ、企画提案など随時募集中です!

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ゲーム教育SIG

活動目的

ゲーム開発者育成教育の研究

ゲーム(シリアスゲーム、ゲーミフィケーション)を活用した教育の研究

ゲーム研究の教育

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ゲーム教育SIG

問い合わせ先・活動内容紹介

参考URL:(今夏目途にページ作成予定)

コアメンバー

リーダー:岸本 好弘(東京工科大学メディア学部)

古市 昌一(日本大学生産工学部)

藤原 正仁(専修大学ネットワーク情報学部)

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ゲームデザインSIG

活動目的

ゲームデザインに関する研究、技術、哲学などをアカデミックな観点からアプローチし、情報共有と議論を通してゲームデザインの共通言語を模索

対象参加者

ゲームデザインについて興味のある方、ゲーム開発者の方々、ゲーム及びゲームに関連する分野の研究者の方々

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ゲームデザインSIG

活動内容紹介

年末に研究会開催予定

Facebook Group 8月末公開予定

コアメンバー

ケネス・チャン(株式会社フロム・ソフトウェア)

中村隆之(神奈川工科大学 情報メディア学科/株式会社スマイルブーム)

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オンラインゲームSIG

今後活動予定

コアメンバー

代表: 川口洋司(日本オンラインゲーム協会事務局長)

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皆さんの参加をお待ちしています!

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